利益の月でも、正の目標を下回ることがあります。Sortinoは指定目標からの不足を測る尺度で、値は目標、観測頻度と下方偏差の定義で変わります。架空月次模型を検算し、その値が示さない経路・通貨の影響も分けます。

目標不足とSharpeの変動を区別

本稿の離散・全期間方式はDD=√{Σ[min(0, Rₜ−T)]²/N}、Sortino=(平均R−T)/DDです。Tは指定目標、Nは全観測期間数。目標以上の期間も寄与ゼロとして分母のNへ残します。目標未達の値だけをその平均の周りで測る普通の標準偏差とは違います。

Sharpeはベンチマークとの差のリターンの変動を使います。ベンチマークとSortinoのTが一致しなければ、分子も同じとは限りません。片方だけが真のリスクを表すとはせず、頻度・期間を揃え、建玉・ドローダウンも別に検査します。

月次リターンは、月内の道筋ではない

横にスクロールすると図全体を確認できます。

同じ月端点でも、途中の下落はある月初100、途中90、月末100。月次リターン0%でも途中で10%下落。入出金なし、同じ通貨。口座価値[単位]10090月初途中月末月次:100→100=0%経路:100→90=−10%回復90→100には+11.11%
月初100、途中90、月末100。月次リターン0%でも途中で10%下落。入出金なし、同じ通貨。

架空の一か月は月初100、途中90、月末100。通貨一定・入出金なし、月次リターン0%、途中の下落10%です。目標月次0%ならこの月の不足二乗の寄与はゼロ。月内損失がなかったという意味ではありません。90→100への回復は10/90≒11.11%です。

破線は報告端点を結び、金色は指定した途中経路。この一観測ではDDも分子もゼロで0/0は未定義、Sortinoゼロでも無限でもありません。頻度の設定だけを変えても、古い報告書に欠けた途中データは生まれません。途中観測を保存しequityの経路も別に評価します。

期間・単位と分母方式を先に固定

月次模型では平均月次リターンから月次Tを引き、各月の目標不足を二乗、目標以上はゼロ、全月数で割って平方根を取ります。分子・分母の期間と単位を一致させます。

月次値へ√12を自動で掛けて年次Sortinoと呼びません。集計、系列依存と目標換算が下方リスクを変えるためです。CFA Instituteの2012年解説は離散例・分母方式とこの年率化の問題を注意しています。本稿の簡単な履歴式は、将来の損失分布を完全に推定するモデルではありません。

十二か月の架空系列を一段ずつ検算

架空の費用後月次リターンを3%、5%、−2%、6%、10%、−1%、2%、8%、−3%、4%、12%、1%とします。合計45パーセントポイント、算術平均3.75%/月です。45%は複利の保有収益ではありません。

T=0%なら不足二乗は4、1、9の合計14(パーセントポイントの二乗)。12で割った14/12の平方根は約1.080123ポイント。月次Sortinoは3.75/1.080123≒3.471825です。負の三月だけで割らず、他九月の寄与ゼロも全12月へ残します。短い人工系列は技能の証明ではありません。

同じ系列で別の仮定T=0.33%/月も検算できます。これは現在の無リスク金利ではありません。不足二乗は2.33²+1.33²+3.33²=18.2867、全12月DD≒1.234460ポイント、平均超過3.42ポイントで比率≒2.770442。目標を変えると分子・分母の両方が変わることが分かります。

数値帯を、業界の格付けにしない

記述用の数値帯本稿で読む範囲
1未満平均超過が指定DD未満。最大DDの大きさではない。
1–2比較用の範囲。業界平均や万能合格点ではない。
2–3同じ頻度・T・期間・分母方式だけで比較。
3超Nと不足回数、定義を確認。機関投資家級という証明ではない。

小さい分母から大きい比率が出ることがあります。36か月あれば自動的に信頼できる、短期の高い値は必ず作為、といった判断にはしません。目標からのDDと標本平均の周りの標準偏差は別の量で、どちらが常に小さい、SortinoがSharpeより必ず大きいともいえません。

目標、標本と観測されなかった損失の限界

Tは同じ期間の単位で指定します。ゼロ、固定月次目標と対応ベンチマークは別の問い。政策金利はそのまま購入可能な商品の収益率ではなく、年率値を黙って月次値として使いません。

短い・選別された履歴や少ない目標未達が下方変動を小さく見せる場合があります。長くても依存、欠測局面・選択の問題は消えません。離散履歴式の計算自体は正規分布を必要としませんが、履歴にない極端損失は含まれず、リスクを過小評価し得ます。

将来損失の上限でもなく、分布の尾、流動性とDDを別に検討します。高い値やDDゼロを、保護の保証としません。

追加例:同じUSD資産の月次利益でも、JPYの不足は生じる

別の架空の資産評価模型です。入出金なし、USDで費用後の月次リターンが二か月とも+2%、USD資産は10,000→10,200→10,404 USD。三つの月端点USD/JPYを150→140→145 JPY/USDと指定し、追加換算料金・税なしで円評価します。日本居住というだけで実口座がこの換算を行うという主張ではありません。

同時点のUSD資産と参照為替JPY評価額
10,000 USD×1501,500,000円
10,200 USD×1401,428,000円
10,404 USD×1451,508,580円

JPY月次は1,428,000/1,500,000−1=−4.8%、次は1,508,580/1,428,000−1≒+5.642857%。円でのT=月次0%、全二期間方式なら、平均約0.421429ポイント、DD=√(4.8²/2)≒3.394113ポイント、Sortino約0.124165です。二観測は十分な推定標本ではなく、単位を変えた効果だけを示します。

USDのT=0%なら二月とも不足なしでDD=0、分子は+2%でも割算は未定義です。それを無限の安全性と表示しません。最後までの合計はUSD+4.04%、円評価+0.572%で、月次率の単純和とは別です。

円の支出目標を評価するなら、その目標と評価通貨を明記して一貫して計算します。USD目標とJPY分母を混ぜたり、確定していない為替のヘッジ効果を足したりしません。この模型は現物の評価単位の例で、差金決済FXの証拠金や税務レートの説明ではありません。

ほかのリスク尺度と並べる

Sharpeは対応期間の差分リターン変動、Sortinoとの比較は目標不足との違いを扱います。Calmarは指定年率収益と同期間等の定義された最大DDを関連付けます。最大DDはピークから谷の下落、期待値は一取引の平均損益で、相互の代用品ではありません。

USDで+2%ずつでも、JPYでは初月−4.8%

USDで+2%ずつでも、JPYでは初月−4.8%架空USD資産10,000→10,200→10,404、USD/JPY150→140→145、入出金なし。仮定に基づく計算JPY評価の三端点150万 → 142.8万 →150.858万円JPY月次T=0・全二期間Sortino約0.124165USD月次T=0DD0で比率は未定義
USDで+2%ずつでも、JPYでは初月−4.8%. 架空USD資産10,000→10,200→10,404、USD/JPY150→140→145、入出金なし。

通貨、目標と頻度を揃え、短い例を将来の実力推定や税務換算に使いません。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

JPY評価の三端点
150万→142.8万→150.858万円 – 各時点の為替を掛ける
JPY月次T=0・全二期間
Sortino約0.124165 – DD約3.394113ポイント
USD月次T=0
DD0で比率は未定義 – 安全や無限を示さない

次の作業:入力と未定義の理由まで保存

  1. 暦期間を揃え入出金を調整した系列を集め、N、不足回数、通貨と頻度を明記。二年を自動合格の閾値にしない。
  2. T=0と仮の月次0.33%を別々に計算。現在の無リスク金利というラベルを付けない。
  3. 平均、T、DD、N、不足回数、期間と比率を並べ、分母ゼロは未定義とする。
  4. 事前の損失・建玉限度の超過時、新規と既存注文をどう扱うかを定義。Sortino1未満が二四半期だけで万能な停止・再開条件としない。

比率の見栄えより、計算方式と欠けた観測を記録し、資金面の余力・実際の建玉を含む全体で判断します。