リスク管理

FXの期待値:勝率・R倍数・純損益の分母を分ける

勝率だけで判断せず、費用後の平均、各取引のR倍数、複利を区別。ゼロ結果の計算練習と、平均Rが正でも円の合計が負になる架空例で確かめます。

平均、損益幅、資金の変化を抽象的に表す編集用画像。実口座の実績ではありません。
平均の単位と重みを分けて読みます。

レバレッジを使うFXやCFDでは、短時間で大きな損失が生じることがあります。内容は学習用であり、個別の投資助言ではありません。

この記事の内容

この記事を読むと…

  • ゼロ結果を含め、費用を一回だけ計上して純平均を求める。
  • 各取引のR倍数の平均と平均損益÷平均リスクの違いを説明する。
  • 割合の平均と資金倍率を分け、標本平均を将来保証にしない。

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期待値(損益の加重平均) 複利ポジションサイジング トレード日誌 損益分岐点(Break-Even) コミッション(売買手数料) デモ口座(仮想資金の練習口座)

勝率だけでは、利益幅・損失幅・費用が分からず収益性を判断できません。架空の分布で70%が50 USDの利益、30%が200 USDの損失なら、一回の平均は−25 USDです。期待値は定めた損益分布の平均で、日誌では選んだ過去標本から推定します。正の推定値だけで将来利益や複利成長は決まりません。

期待値とは何を平均する数字か

定義した分布の一取引当たり平均損益です。記録済み純損益なら「勝ち頻度×平均利益−負け頻度×平均損失額」で求め、後者の損失額は正の大きさで入れます。損益ゼロも総件数に含めます。ちょうど100回という数学的な最低件数はなく、不確実性は散らばり、依存関係、標本の代表性によります。

70%が1単位の勝ち、30%が3単位の負けなら、追加費用前の平均は0.7−0.9=−0.2単位です。勝率と結果の大きさを併記します。100件あっても偶然が消えたり、その平均が将来続いたりする保証はありません。

勝率だけで判断すると何を見落とすか

同じ架空の10,000 EUR口座でEUR/USDを扱う三つの分布を比べます。以下の金額は一取引の利益・損失で、実績、円換算、将来の約束ではありません。

同じ初期資金の架空三戦略
戦略A:高い勝率でも平均は小さい 70%が50 EURの利益、30%が100 EURの損失。0.7×50=35から0.3×100=30を引き、費用前平均は5 EURです。税は適用規則に従い別に検討します。
戦略B:低い勝率でも損益幅で上回る 50%が100 EURの利益、50%が50 EURの損失。50−25=25 EUR。Aより勝率が低くても平均は5倍です。
戦略C:費用前で平均ゼロ 60%が80 EURの利益、40%が120 EURの損失。48−48=0 EURです。個別の結果列は利益にも損失にもなります。
比較の結論 仮定した分布ではB 25 EUR、A 5 EUR、C 0 EURの費用前平均です。実現する系列の結果を保証しません。

各模型で未計上の平均執行費用を一回6 EURとすると、純平均はA −1 EUR、B 19 EUR、C −6 EURです。日誌が既に純損益なら再控除しません。税は投資家・適用制度ごとの別計算で、全取引へ固定額を引く費用ではありません。エッジの検討と損益比率も確認します。

R倍数:各取引の当初リスクで割る

Van Tharpの枠組みでRは、その取引に入る時点で計画したリスク額です。費用の定義を揃え、符号付き結果を各取引のRで割ります。Rは口座の1%・2%と決まっておらず、実損失は−1Rを超え得ます。尺度を揃えても執行や損益分布まで同じにはなりません。リスク額が変わる場合は各R倍数を先に計算して平均します。

架空分布で勝率50%、平均勝ち2R、平均負け1Rなら、0.5×2−0.5×1=0.5Rです。40%に変えれば0.4×2−0.6×1=0.2R。どちらも仮定上の正の平均ですが、個々の取引が必ず0.5Rや0.2Rを得る意味ではありません。

仮定の平均0.5Rが続けば100回の期待合計は50Rです。毎回固定R=100 EURなら未計上費用前で5,000 EUR。変動する有効証拠金を基にRを再計算すればユーロ額は変わります。固定比率・二値結果の模型では件数から最終資金を導けても、変動損益、料金、数量制約は取引ごとの入力が必要です。順番はドローダウンにも影響します。1%の数量計算と区別し、実利益を保証しません。

Rで表す平均は、各取引のR倍数を平均した数字です。選んだ標本を記述することと、代表性を仮定して将来へ推定することを分けます。

Rの水準を評価するときの注意

次の帯域は標本平均の説明用で、検証済みの格付け、個人の売買ルール、増資基準ではありません。純損益か費用前か、当初Rをどう定義したか明示します。将来の期待値には標本と模型の根拠が別に必要です。

R倍数の標本平均を読む
0.5R超 定義したRと費用で大きい正の標本平均。将来の別環境で続く証明ではありません。
0.3R〜0.5R 正の標本平均。費用計上と不確実性を確認してから収益性を考えます。
0.1R〜0.3R 正の標本平均。純損益なら費用は既に控除済みで、符号だけで持続するエッジは示せません。
0R〜0.1R 小さい正の標本平均。費用を賄うかは純・総額の定義と費用額によります。
0未満 選んだ標本では定義上の負の平均。将来分布には別の仮定が必要で、個別の利益期間もあり得ます。

平均だけでは連敗や最大ドローダウンは分かりません。同じ平均でも分散やまれな損失が異なり、正の算術平均と正の複利成長も別です。分布と経路を残し、次の数回で平均が必ず実現するとは説明しません。

正の平均リターンでも資金は減り得る

何の単位を、どの元本に対して平均したかを先に確認します。変わる資金の割合は固定の現金額ではありません。

横へスクロールして図全体を確認 →

横にスクロールすると図全体を確認できます。

正の平均リターンと複利の違い架空二期間。100が+50%で150、次の−40%で90。割合の算術平均は+5%でも資金は合計−10%。現金結果+50と−60の平均は−5単位。確率や将来期待値は設定していません。二つの割合の平均:+5%各割合の分母は各期の開始資金0%+50%−40%第1期第2期資金(架空の単位)10015010015090開始第1期後第2期後100 × 1.50 × 0.60 = 90資金全体の変化:−10%

入出金と追加費用を含まない二期間の架空例です。+50%と−40%は計算を見やすくする数字で、目標や推奨リスクではありません。各期の開始資金を分母とします。確率模型なしの+5%は記録した二リターンの平均で、次の結果の期待値ではありません。

割合の平均が正でも、続く資金倍率で元本は減り得ます。

割合の平均は(50%−40%)/2=+5%。資金は倍率を掛け100×1.50×0.60=90、合計−10%です。現金結果は+50と−60で平均−5単位。先ほどの純現金平均と矛盾せず、別の単位・量を測っています。日誌や複利予測で取り違えません。

期待値が約束しないこと

過去平均を将来へ使うには、代表的な選定、一貫したルール、依存関係と費用に適した模型が必要です。ボラティリティや相関が安定しているだけでは十分ではありません。ルール・料金変更を記録し、同じ定義の期間を比較します。取引統計の点検も併用します。

件数だけで信頼性は決まらない

10回の平均もその10結果を記述しますが、将来の平均の推定として通常は弱い資料です。小標本と散らばりを併記し、短い連勝を永続的なエッジの証明にしません。

  • 30回:限られた標本です。不確実性の区間には観測した散らばりと依存関係の模型が必要で、件数だけで0.3Rを0.15R〜0.45Rの区間には変換できません。
  • 100回:同等の標本条件なら30回より情報が増えます。独立・同一分散の仮定では標準誤差は1/√nに比例しますが、依存、選択、戦略・市場の変化を確認します。
  • 500回:独立・同一分散なら標準誤差は100回時の約44.72%。戦略比較に必要な万能の最低件数を示すものではありません。
  • より大きい標本:代表性が続くと精度改善に役立ちます。独立・安定した有限分散の模型で標準誤差を半分にするには件数が4倍必要です。取引結果は仮定を満たさない場合があります。

共通の有限分散σ²を持つ独立観測なら、平均の標準誤差はσ/√nで、通常s/√nで推定します。信頼区間には分布の仮定と臨界値も必要です。散らばりが大きいほど不確実性は増え、結果の集中や選択によって単純式が適さなくなります。件数だけでは誤差区間は出せません。

100回で増資が正当化される数学的なしきい値はありません。標本選択、散らばり、依存、費用、パラメーター調整に使わなかった結果を調べます。短い記録は誤りを発見できてもエッジを証明せず、長い記録も偏り得ます。リスク管理の基礎で全体を確認します。

日誌で実行する四つの手順

戦略は実際に稼いだのかを、定義した標本・費用・Rで確かめます。次の四手順は記録の診断で、将来利益や増額の許可ではありません。

  1. 決済済み取引の標本範囲と件数を決め、費用を統一した純平均を計算します。ゼロ結果も含めます。少ない記録でも過去の説明や誤り発見には使えますが、将来推定の不確実性を示します。
  2. 各取引の純結果をその取引の当初計画リスクで割り、符号付きR倍数を平均します。リスク額が変われば「平均損益÷平均リスク」と違い得ます。当初リスク・費用の定義を揃えます。
  3. 平均の符号と大きさを、散らばり・ドローダウンと一緒に診断します。変化の原因を調べ、0.3Rを普遍的な増額基準にしません。頻度を下げるだけで平均が上がるとも限りません。
  4. 見直し時期を決めて記録しますが、50回を万能の有効性窓にしません。新たな平均も揺れがあり、戦略が永久に機能しなくなった瞬間を特定できません。

関連:トレーダーのリスク管理で全体像、1%ルールで一回のRと口座、取引統計で平均以外の指標を確認します。

合計損益が同じでも平均が変わる

計算練習:約2分

別の架空標本で純利益平均200 USDの勝ち30件、平均損失100 USDの負け50件、費用後ちょうどゼロ20件。合計1,000 USDを100件で割り平均10 USDです。ゼロを除く勝率37.5%、プロフィットファクター1.2。ゼロだけ20件から40件へ変えたら、一回平均、合計、ゼロを除く勝率はどう変わりますか。

ゼロ結果の件数を変えて確かめる →

結果と理由を確認

30×200−50×100=1,000 USDは同じ。件数120で平均1,000÷120≒8.33 USDへ低下します。ゼロを除く勝率30÷80=37.5%、PF 6,000÷5,000=1.2も同じです。各指標の分母が違います。

入力した標本の説明で予測ではありません。計算機は純現金損益を用い、割合リターンやR倍数の平均ではありません。建値決済でも手数料があれば純損益はゼロではありません。

追加例:正の平均Rでも円の合計はマイナス

別の架空二取引で、当初計画リスク1,000円の取引が純利益+2,000円、リスク10,000円の取引が純損失−5,000円だったとします。全費用は純結果に計上済みで、追加控除しません。各R倍数は+2Rと−0.5R、等しい一取引一票の平均は+0.75Rです。

一方で円の合計は−3,000円、一回平均は−1,500円です。平均純損益−1,500÷平均リスク5,500≒−0.2727で、+0.75Rとは違います。前者は大きいリスクの取引へ大きな重みが付く比率です。単位を円へ変えただけでなく、重み付けも変えてしまっています。

大きいリスクの負けを隠すために正の平均Rだけを掲げず、当初R、純円損益、R倍数を同じ行に残します。この二件は将来分布の推定や推奨サイズではありません。計算機の純現金平均へ+2と−0.5を円として入れないでください。

平均+0.75Rでも合計−3,000円架空二取引。純結果に費用計上済み。円とRの重みを比較します。仮定に基づく計算取引A+2,000円/当初1,000円=+2R取引B−5,000円/当初10,000円=−0.5R一取引一票の平均R(+2 − 0.5) ÷ 2=+0.75R円の合計と平均合計−3,000円/平均−1,500円
平均+0.75Rでも合計−3,000円. 架空二取引。純結果に費用計上済み。円とRの重みを比較します。

平均Rの符号だけで実際の円利益は判断できません。各行の当初リスクと純結果を残し、単位・重み・費用の定義を添えます。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

取引A
+2,000円/当初1,000円=+2R – 小さいリスクの利益。
取引B
−5,000円/当初10,000円=−0.5R – 大きいリスクの損失。
一取引一票の平均R
(+2−0.5)÷2=+0.75R – リスク額を重みとしない。
円の合計と平均
合計−3,000円/平均−1,500円 – 平均リスク5,500円で割る比率は約−0.2727。

理解度を確認

練習の目安: 約2分.

資金100が+50%で150。次に現在資金の−40%。いくら残る?

答えと解説を見る

正解です。二期目の損失60で90が残り、割合の平均+5%とは別です。

よくある質問

期待値はどう計算しますか。
定義した分布の平均です。標本は費用後合計をゼロ結果込みの全件数で割ります。勝ち頻度×平均利益−負け頻度×平均損失額も同値で、後者の損失額は正の大きさ。将来推定には代表性等の仮定が必要で100回の数学的最低条件はありません。
三戦略の金額はどうなりますか。
費用前Aは0.7×50−0.3×100=5 EUR、Bは0.5×100−0.5×50=25 EUR、Cは0.6×80−0.4×120=0 EUR。未計上費用が平均6 EURなら純平均−1、19、−6 EUR。純結果から二回費用を引きません。
R倍数は平均金額を平均リスクで割るのですか。
各取引の符号付き結果をその当初リスクで割って平均します。元の別USD例で+200/R100=+2R、−100/R200=−0.5Rなら平均+0.75R。平均現金50を平均リスク150で割った約0.3333とは違います。費用とR定義を揃え、損失が−1Rを超える可能性も残します。
どのR水準なら増額してよいですか。
万能の帯域はありません。純平均0.3Rは選んだ記録の説明で、安定した未来のエッジを証明しません。費用前なら一度計上し、散らばり、依存、ドローダウン、標本選択、調整外データも確認します。平均Rだけで円の合計利益も決まりません。

出典と検証

  1. vantharpinstitute.com

    内容の参考資料。記事に記載した範囲と前提を確認してください。

  2. vantharp.com

    内容の参考資料。記事に記載した範囲と前提を確認してください。

  3. itl.nist.gov

    内容の参考資料。記事に記載した範囲と前提を確認してください。

計算例には前提条件を明記しています。現在の市場データや提供会社の取引条件の代わりにはなりません。

著者について

Jarosław Wasińskiはポーランドの編集者・市場アナリストです。2004年にMyBank.plを設立し、2007年から外国為替市場の分析に携わっています。