売買にも賭けにも不確かな結果があります。「トレード」と呼ぶことやチャート手法の存在だけで、正の期待値や優位性は証明されません。本稿は算術と意思決定の比較で、法律上・臨床上の分類を行うものではありません。

期待値は確率で重み付けした平均

各結果にその確率を掛けて合計します。モデルで正でも、一件・一か月・一口座が必ず利益となる意味ではありません。市場では将来確率と損益分布を既知とせず推定する必要があります。

架空例で確率40%の勝ち200 EUR、60%の負け100 EUR、費用前と仮定。0.40×200−0.60×100=20 EUR/回です。4勝6敗なら200 EURの利益ですが、十回が必ず4勝6敗になるわけではありません。定義したゲームの既知の確率と、不確かな市場推定を区別します。

同じ計算に費用を含める

同じEUR例で毎回5 EUR費用なら期待値15 EUR、25 EURなら−5 EURです。コストは常に小さい、または一定のリスク割合とは限りません。契約・数量・約定・保有期間によって変わり、スプレッド、手数料、金利、スリッページを検査します。記録済み純損益に既に入っている費用を二重控除しません。

取引相手と執行の仕組みも検査が必要で、市場全体で全業者の条件が中立だという保証はありません。損益が確率と費用に依存することと、個別サービスが公正かどうかは別の問題です。

計算例

半分勝つだけでは足りない

図全体は横スクロールで確認

横にスクロールすると図全体を確認できます。

費用後の損益分岐勝率・架空モデル毎回費用前±100 USD、固定費4 USDの架空試行。費用後は+96または−104 USD。仮定勝率48%、50%、52%、54%で期待損益は−8、−4、0、+4 USDです。費用が損益分岐を変える勝ちの費用後損益+96 USD負けの費用後損益−104 USD仮定した勝率1回の期待損益48%−8 USD50%−4 USD52%0 USD54%+4 USDp × 96 − (1 − p) × 104 = 0 → p = 52%

別の架空モデルでは固定費4 USDにより損益分岐は50%から52%へ移ります。仮定勝率54%なら0.54×96−0.46×104=4 USD/回。表計算の正の結果は、仮定確率が実際の戦略を表す証拠ではありません。

費用前±100 USDと毎回固定費4 USDの米ドルモデルで、本文の非対称EUR損益とは別例です。予測や市場勝率の推定ではありません。

損失口座割合だけで原因を診断しない

ESMAの過去の措置検討は個人CFDが対象です。2018年3月27日公表で示された74–89%という過去の個人口座損失割合は、全FX参加者や現在の日本の全口座を測る数字ではありません。各人の行動を診断したり、個別の損失原因を特定したりする証拠でもありません。

高レバレッジや損失追いは露出を増やし得ますが、それだけで特定手法の期待値は決まりません。結果の証拠と意思決定の評価を分けます。売買で生計を立てる条件も、必要支払と不確実な結果を混同しません。

優位性と資金の耐久力は別の問い

事前の根拠、出口、数量は監査可能な記録を作りますが、それ自体が優位性を生むわけではありません。期待値と、損失に耐えられる資金は違う性質です。破産リスクは失敗の定義、損益仮定、数量設定に依存します。残るequityの一定率と、開始資金から決めた固定額も異なります。

1%という予算も、正の推定平均も生存保証ではありません。最大ドローダウンで損失率と回復に必要な上昇率を区別し、連敗・同時建玉・SLを超える約定も検査します。

期待値が正でも十回の黒字確率は半分未満になり得る新しい独立JPY架空モデル:各回の費用前勝ち3,000 JPY/負け2,000 JPY、毎回固定費100 JPY。勝率45%が十回ずっと一定で独立、数量固定、資金制約で途中停止しないと仮定。市場データからの推定ではありません。仮定に基づく計算一回の期待損益+150 JPY四勝と五勝の合計−1,000/+4,000 JPY十回が黒字となる確率約49.56%
期待値が正でも十回の黒字確率は半分未満になり得る. 新しい独立JPY架空モデル:各回の費用前勝ち3,000 JPY/負け2,000 JPY、毎回固定費100 JPY。勝率45%が十回ずっと一定で独立、数量固定、資金制約で途中停止しないと仮定。市場データからの推定ではありません。

一回の勝率45%、十回黒字の確率約49.56%、期待合計+1,500 JPYは別の量です。正の期待値から「次は勝つ」「十回なら多くの場合必ず黒字」とは推論できません。独立・一定確率・固定数量の仮定が崩れればこの確率も使えません。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

一回の期待損益
+150 JPY – 0.45×2,900−0.55×2,100。十回の期待合計は+1,500 JPY。
四勝と五勝の合計
−1,000/+4,000 JPY – 十回の純損益=5,000×勝数−21,000。黒字には5勝以上。
十回が黒字となる確率
約49.56% – 二項モデルΣ[k=5…10]C(10,k)0.45^k0.55^(10−k)=0.4955954083。

連敗したから次が勝ちになるわけではない

ギャンブラーの誤謬は独立試行なら連敗後も次の仮定確率が変わらないことで説明できます。実際の市場取引は独立とは限らないため、口座の連敗だけから反転を推定せず、関連する情報を検査します。

取り返すため次の数量を増やせば、変わるのは露出する金額です。次の確率や判断品質を自動的に改善しません。計画と実行を損失を取り返す行動として点検しても、少数の行動を数えて臨床的な診断とはしません。

工程と証拠を記録する

根拠、銘柄、数量、予定損失、実損益、費用と逸脱を保存します。標本を明示して純損益の平均を求め、仮定変更への感度も調べます。50取引や一か月といった固定件数・期間だけで統計的信頼性は確立しません。

生活上必要な資金と整合する予算を選び、連敗・同時建玉・出口を超える約定を検査します。建玉量の算術と期待値は役割が違います。図の費用後損益分岐52%も架空の閾値で実戦略の勝率推定ではありません。日本の登録やレバレッジ規則の範囲も別に確認し、手法の優位性の証明にしないでください。