ここでは四つの中央銀行決定と八つの米国発表を整理します。USD・EUR・GBP・JPYの観察に役立つ出発点で、世界の全材料でも、儲かる順ランキングでもありません。他の通貨にはその国の統計・政策日程を加え、予定外ニュースも考慮します。日本から見るときはAsia/Tokyo(JST)の日付と時刻を保存します。

サプライズを読む前に系列・内訳・単位をそろえる

実績、改定と内訳を、発表前に保存した予想と比べます。コンセンサスは提供元により中央値・平均等が異なり、一つの実績が一致しても情報が全て既知だったとはいえません。架空の季節調整済みCPIでは総合の前月比0.3%が予想0.3%と一致する一方、食品・エネルギー除く0.4%は予想0.2%より0.2パーセントポイント高い、と別々に記録します。範囲が重なる二つのサプライズを足して新しい物価指標を作りません。

GDPも単位を確認。架空実質指数100→101は前期比1%。同じペースを4四半期続けた年率換算は((101÷100)4−1)×100=4.060401%、約4.1%です。前年比でも翌年予測でもありません。

発表機関の元時間帯と正確な日付を確認してから変換。JSTはUTC+9で夏時間なしでも、米国・欧州側の切替日が異なれば時差は変わります。業者サーバー時計は更に別です。定例の月内パターンより実際のカレンダー例外を優先してください。

四つの中央銀行決定:決定と後続資料は別のイベント

  1. FOMC:政策金利の目標レンジ等、声明、ある場合の経済見通しを確認。全会合に見通しがあるわけではなく、議事要旨は後日です。公式日程で決定・会見を分け、Fed決定と為替の読み方で整理します。
  2. ECB:預金ファシリティ、主要リファイナンス、限界貸付の各金利を区別し、理由と会見を読みます。日付別日程を確認し、会見のほうが必ずEURを大きく動かすとはしません。
  3. BoE:Bank Rate、MPCの票数と理由を保存。金利据置でもリスク評価が変わり得ます。票数だけで次回決定やGBPの方向は確定しません。
  4. 日本銀行:金融市場調節方針と説明、該当回の展望レポートを確認。決定、主な意見、議事要旨は別資料・別日程です。国内発表を一律に「欧州早朝」や固定時刻として扱いません。公式日本語日程で対象会合と公表資料を照合します。

中央銀行と通貨のラベルは整理用です。その発表の影響が一通貨だけに限定される意味ではありません。

月を組み立てる八つの米国発表

  1. Employment Situation/NFP:BLSの雇用統計。多くは金曜8:30ETですが、必ず第1金曜ではありません。雇用者変化、失業率、賃金と改定を分けて読む。月で一番動くという普遍順位は置きません。
  2. CPI:BLSが指定日に8:30ETで公表。系列・対象月・調整と内訳をそろえます。政策期待に関係しても、FOMCより大きく動くかは個々のイベントと観測窓次第です。
  3. PCE物価指数:BEAのPersonal Income and Outlays内の価格指標。本人の購入だけでなく本人のための購入等も対象に含む価格変化で、PCE支出の金額そのものではありません。CPIと同じ指標として交換しません。
  4. ISM製造業PMI:製造業活動の指標で、月初営業日の公式日程とET時刻を確認。50が当該分野の拡大・縮小の境目です。
  5. ISMサービス業PMI:総合は四つの等ウェイト要素、製造業は五つ。両方ともPricesは別指標です。休日例外も確認し、二つの総合値の単純平均を公式米国PMIとは呼びません。
  6. 米国GDP:速報、2次、3次推計と後の改定を区別。早い版は早く得られる情報ですが、後続版にもサプライズはあり得ます。BEAの実日程と版を記録。
  7. 小売・飲食サービス売上:Censusの季節・カレンダー調整済み系列は物価変化調整済みとは限らず、全消費サービスを網羅しません。対象月・改定・公表案内を確認。
  8. 週間新規・継続失業保険申請:DOLの保険制度の行政系列。同じ発表でも対象週やプログラムが異なります。全失業者数ではなく、4週平均だけで通貨の反応を決めません。

八つを並べてもUSDについて独立な八票にはなりません。通貨ペアの反対側の国の情報を省略せず、系列・単位・改定と内訳を保持してください。

通貨ペアと時間窓で再現可能な短いリストを作る

下図の全四件は同日の同じ固定時間帯に作った架空イベント。EUR/USD、14:00〜15:00という独自条件で両端を含む観察窓を設定します。図の時計を実際のETやJSTの発表時刻だと扱いません。

横にスクロールすると図全体を確認できます。

二通貨と時間窓の独自フィルターEUR/USD、14:00〜15:00ならEUR14:10とUSD14:30を選択。JPY14:45は通貨条件外、EUR15:10は時間外。整理ルールであり他の影響を排除するものではない。二つの通貨+時間窓独自ルール:EUR/USD、14:00〜15:00時刻通貨選別結果14:10EUR選択14:30USD選択14:45JPY通貨条件外15:10EUR時間条件外4件のうち2件を選択。見る順序の整理であり、市場の制限ではない。
EUR/USD、14:00〜15:00ならEUR14:10とUSD14:30を選択。JPY14:45は通貨条件外、EUR15:10は時間外。整理ルールであり他の影響を排除するものではない。

EUR14:10とUSD14:30は通貨・時間の両条件を通過。JPY14:45は通貨が違い、EUR15:10は時間外です。4件中2件を選びます。ただし条件外も市場に影響し得ます。これは注目先を整理するルールであって、経済的に無関係という判定ではありません。完全な元カレンダーも残し、実発表は機関の一次日程で確認します。

行数に溺れない:発表IDと値の欄を分ける

EUR/USDとGBP/USDを観察する際にUSD・EUR・GBPへ絞るのは明示したルールであり、他のニュースを無効にするものではありません。架空の5行リストでNFP・失業率・賃金は一つのEmployment Situationパッケージ、総合・コアCPIは別の一つ。5行を2発表IDにまとめても、個々の値を消さず、2発表が統計的に独立だとも断定しません。

イベント時の取引条件は商品・業者ごとに確認。表示相場は普遍的な約定価格の保証ではありません。MT5には業者・商品により異なる執行モードがあり、Market Executionでは業者側が執行価格を決めます。固定10pipsのスプレッドや、何分待てば平常に戻るというルールを本稿は示しません。通常SLも最大損失を保証しません。ニュース発表とスプレッド・執行で具体的な約定例を確認します。

日本向け実例:同じ8:30ETでも21:30と22:30

BLSの2026年日程では6月分雇用統計は7月2日木曜8:30ET、10月分は11月6日金曜8:30ETの予定です。日付付きAmerica/New_York→Asia/Tokyo変換では、前者は7月2日21:30JST、後者は11月6日22:30JST。予定は変更され得るため発表前に再確認します。

日本側の観察窓を21:00〜22:00JSTで固定すると前者だけが入り、後者は外れます。後者が重要でなくなったのではなく、元時刻の夏時間差で選別結果が変わっただけです。元日時、名前付き時間帯、JST日時、対象月、発表IDを一緒に保存すれば原因を再現できます。USD/JPYを観察するなら、日本の資料も日本銀行等の公表日程で追加します。

日付跨ぎにも注意。架空の14:00ETイベントを2026年7月29日に置くと7月30日03:00JST、1月28日なら1月29日04:00JSTです。これは時計変換の練習で、実際のFOMC公表時刻をこのモデルから決めるものではありません。深夜通知にはJSTの日付も書きます。

JST固定の窓が同じ雇用統計を落とす理由

JST固定の窓が同じ雇用統計を落とす理由BLS2026年予定の8:30ETを実際に日付付き変換。日本時間に夏時間はないが米国側にある。発表前に最新予定を確認。仮定に基づく計算7月2日8:30ET7月2日21:30JST11月6日8:30ET11月6日22:30JST保存する識別子元日時+ゾーン+対象月
JST固定の窓が同じ雇用統計を落とす理由. BLS2026年予定の8:30ETを実際に日付付き変換。日本時間に夏時間はないが米国側にある。発表前に最新予定を確認。

観察対象の落ちた理由が、通貨なのか時間窓なのか時差変化なのかを再現できる記録にします。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

7月2日8:30ET
7月2日21:30JST – 21:00〜22:00JSTの観察窓に入る。木曜という日程例外も確認。
11月6日8:30ET
11月6日22:30JST – 同じJST窓の外。発表が無関係になったわけではない。
保存する識別子
元日時+ゾーン+対象月 – 表示時計だけでなく発表IDと変換後日付も保存。

最初の一歩:ルール・原資料・観測窓を保存する

  1. Asia/Tokyo等の名前付きゾーン、通貨ペア、観察窓とフィルターの目的を決める。重要度アイコンを実際の変動幅や利益確率としない。
  2. 来週の発表元・日付時刻・対象期間・版・ローカル変換を確認。30分前通知一つで変更や突発ニュースを必ず把握できるとは考えない。
  3. 資金を投じる前に、予想の保存時点、実績・改定、固定した反応観測窓と費用を記録。10回中6回の方向一致だけでは優位性や適切な1%リスクを検証したことになりません。

次は経済カレンダーの時刻・単位・改定の確認手順で実際の原資料との対応を作ります。