米国Employment Situation(雇用統計)は、給与雇用、失業、報酬を異なる調査からまとめる発表です。見出しの予想差だけでなく、単位、改定、基準期間を分けます。日本から読むときも米国の統計対象を国内の人数や賃上げ率と同じに扱いません。

NFPは何を数え、誰が公表するか

NFPはBLS(米労働統計局)が公表する月次Employment Situationの非農業部門給与雇用の推計です。通常は金曜08:30 Eastern Timeですが例外もあり、毎月の公式日程で確認します。季節の時差を日付ごとに変換し、「常に第一金曜」と固定しません。

事業所調査CESは民間企業と政府の非農業給与雇用を対象にし、農業、個人世帯の雇用、法人化していない自営業などは対象外です。異なる雇用主で働く同じ人は複数に数えられ、世帯調査CPSでは1人です。給与雇用は常勤換算人数(FTE)ではありません。CESの基準は12日を含む給与期間、CPSは通常12日を含む週で、公表時点そのものの雇用ではありません。

仕事が3件増えても、新しい人は0人

元の架空例で、10人が各1雇用主の給与雇用を持ちます。そのうちA・B・Cが元の仕事を続けたまま別の雇用主でも働きます。

横にスクロールすると図全体を確認できます。

同じ人が持つ追加の給与雇用架空の10人が最初は10件の仕事を持つ。A・B・Cは元の仕事を続け別の雇用主でも働く。人数は10人のまま、給与雇用件数は13件。仕事が増えても、人数は同じ既存10人中3人が別の雇用主でも働く人数元の仕事追加の仕事A仕事仕事B仕事仕事C仕事仕事ほかの7人:各1件の給与雇用実人数:10 → 10、変化0給与雇用件数:10 → 13、変化+31件の仕事は常勤とは限らない
架空の10人が最初は10件の仕事を持つ。A・B・Cは元の仕事を続け別の雇用主でも働く。人数は10人のまま、給与雇用件数は13件。

A・B・Cは各2件、残る7人は各1件なので給与雇用は13件、人数は10人。仕事+3、人0です。対象範囲と基準期間は同じで、退出や新規参加はありません。労働時間やBLSの標本推計は再現しておらず、失業率や実際のCPS推計も計算しません。BLS CES FAQのEmployment Conceptsは常勤・短時間の両方を含み、別雇用主で重複して数える仕組みを説明します。

雇用・失業率・平均時給の単位を分ける

給与雇用の変化は通常千件、CPS失業率は労働力人口に対する%、民間CES平均時給はドル/時間やその変化率です。同じ母集団の交換可能な3数値ではありません。健全な雇用増の万能閾値もありません。平均時給は給与総額を総時間で割る報酬の平均で、賃金レートそのもの、中央値、総雇用コストや直接のインフレ測定とは違います。

元の架空構成例では50人ずつが20 USDまたは10 USDで各1時間働きます。給与総額1,500 USD/100時間=15 USD/時。次に20 USDの50人だけ残り同じ単価で働くと、1,000 USD/50時間=20 USD/時。平均は33.33%上がる一方、総額は33.33%減り50件の仕事がなくなります。誰も昇給していません。構成の効果を示すだけでCES推計全体や物価予測ではありません。

別の架空例で就業1億9,000万人、失業1,000万人なら1,000/20,000×100=5%。失業者200万人が労働力人口から外れ、就業者は変わらないなら800/19,800×100≒4.04%。就業者が増えなくても失業率は約0.96パーセントポイント下がります。分母、参加率、就業も確認してください。

予想差と改定は、ドルの方向そのものではない

雇用情報はFedの雇用・物価目標への期待に影響し得ますが、金利判断やドルの方向を強制しません。以前の予想、報告の各項目、改定、ほかのデータと照合します。架空の予想180千件に発表185千件なら差は5千件ですが、それだけで小さな市場反応と断定できません。何万件以上なら動くという共通閾値もありません。

別の架空報告では今月+180千件、予想+150千件でサプライズ+30千件。過去月+170→+130千件は−40、+150→+120千件は−30、合計改定−70千件です。新しい3か月平均(120+130+180)/3≒143.3千件。失業率4.2%対予想4.1%は+0.1ポイント、時給変化0.2%対予想0.3%は−0.1ポイントです。これらの%を雇用千件へ足したり、30−70を自動売買方向へ変換したりしません。

CESの初回推計は直後2か月に標本情報で改定され、年次ベンチマーク等でも履歴が変わり得ます。判断時に知れた版を保存。後の改定は今月雇用の独立した追加発表ではなく、それを過去の信号へ差し込むと先読みになります。

発表直後の1分をどう観測するか

発表時刻と観測窓を固定し、実気配・約定条件を調べます。すべてのNFPが月内最大変動や決まった複数市場の順路を生むとは仮定しません。執行は業者、商品、相場条件に依存し、スプレッド・約定が平穏時と違うこともあります。普通SLは選択価格を保証せず、窓や反転で悪化約定、方式によっては拒否もあり得ます。各回の固定幅や必ず起きる滑りを作りません。

円の例:中値が8 pips上がっても、買い損益は同じではない

独立した架空USD/JPYで、中値150.00→150.08、1 pip=0.01円、数量10,000 USD。各案のスプレッドは区間を通じ一定・中値に対称、すべて指定Ask/Bidで約定、往復手数料100円、滑りと資金調達なしとします。実NFPの測定や典型値ではありません。

案幅買いAsk / 売りBid粗 / 純損益
A0.02円150.01 / 150.07+600円 / +500円
B0.10円150.05 / 150.03−200円 / −300円

同じ中値+0.08円でも実約定差はA+0.06、B−0.02円で、純損益差は800円です。Bで中値8 pipsをそのまま利益800円としたり、約定計算からもう一度スプレッドを引いたりしません。現実には約定価格・数量自体が不確実で、これは条件を分ける算数です。データの解釈と、保有方法の結果を別に記録します。

Fedの局面と他の雇用資料

同じ雇用増でも政策環境と予想次第で解釈は変わり、必ず利下げを遅らせる・弱ければ必ず利下げという関係ではありません。Fed判断とドルを合わせて読みます。週次の新規失業保険申請は対象と基準期間が異なり、週次NFPやCPS失業者数ではありません。頻度だけで市場反応の大きさの順位も決まりません。JOLTSも別調査として定義を確認します。

日本時間のリマインダーと提供条件

NY08:30は、たとえば2026年7月15日という夏時間の日ならJST21:30、2026年11月6日の冬時間ならJST22:30です。7月15日は時差計算の例で、その日に雇用統計があるという主張ではありません。BLSの現行予定表には2026年10月分を11月6日08:30と掲載。予定は変更され得るので発表前に再確認します。5分前の通知なら、それぞれ21:25・22:25です。固定の欧州14:30や季節を無視した日本時刻へ置き換えません。

実業者の商品・注文方式・受理済み保護を確認し、国内登録や許容レバレッジから希望価格での退出を保証しません。この米国統計の説明だけで日本の税区分・個別取引の申告判断は決めず、該当する取引と制度の資料を別に確認します。

中値の上昇と、円の実約定損益

中値の上昇と、円の実約定損益架空USDJPY中値150→150.08、10,000USD、一定対称幅、全約定、往復費用100円。仮定に基づく計算Aの幅0.02円+500円純益Bの幅0.10円−300円純損失両案の差800円
中値の上昇と、円の実約定損益. 架空USDJPY中値150→150.08、10,000USD、一定対称幅、全約定、往復費用100円。

中値8pipsを、どちらの約定でも得られる利益と見なしません。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

Aの幅0.02円
+500円純益 – Ask150.01→Bid150.07、粗600−100。
Bの幅0.10円
−300円純損失 – Ask150.05→Bid150.03、粗−200−100。
両案の差
800円 – 同じ中値変動でも異なる。実NFP測定ではない。

次の発表前に決めておくこと

  1. BLSの正確な予定と経済カレンダーを照合し、日付を付けJSTへ変換します。
  2. 観察、保有削減、新規なしなど自分のイベント対応を事前定義。経験12か月という境界は検証済み基準でなく、30分後・特定時刻に流動性や幅が必ず戻るとも考えません。
  3. 予想提供元と保存時刻、最初の発表、過去値の旧版・改定版、受信時刻を記録。価格観測窓を先に選び、銘柄、出所、スプレッド、実約定と同時イベントも残します。

日誌は再現可能な観測の記録で、利益の出る規則や単一ニュースの因果関係の証明ではありません。