EMA(指数平滑移動平均)は直近価格へ大きな重み、SMA(単純移動平均)は窓内の各価格へ等しい重みを付けます。計算式だけで取引成績の優劣は決まりません。

平均の上昇は直近価格の上昇?

架空の終値90・100・110・105。三本目から四本目への更新を比較します。

横スクロールで図全体を確認 →

横にスクロールすると図全体を確認できます。

価格が下がっても平均は上がる架空終値90・100・110・105。SMA3は100から105。直近価格は5下落、SMAは5上昇。最初のSMA100を初期値にしたEMA3はα0.5で102.5へ。平均は算出可能な二点のみ表示。価格下落・二つの平均は上昇90100110C1C2C3C4110105価格:110 → 105、変化 −5SMA3:100 → 105、変化 +5EMA3:100 → 102.5、+2.5SMAは90を外し105を追加。
同じ足・Close系列。EMA3は三本目のSMA100から開始しα=2/(3+1)=0.5。SMA更新(105−90)/3=5、EMA更新100+0.5×(105−100)=102.5。初期値より前のEMAを描いていません。
平均の向きは平均自身の変化であり、直近終値の変化ではありません。

二つの計算式と初期値

SMA(N)=選んだN個の価格の合計÷N。各価格の重みは1/Nで、SMA20なら同じ時間足の20本に各5%。更新は「新価格−外れる最古価格」÷Nです。直前の終値との差ではありません。

標準EMAのα=2/(N+1)、EMA(t)=α×C(t)+(1−α)×EMA(t−1)。変化はα×[C(t)−EMA(t−1)]。N>1ならα>1/Nです。無限の履歴を仮定した理想形で、現在を年齢0とすると年齢jの重みはα(1−α)j。EMA20の年齢0・1・10・20の重みは約9.5238%・8.6168%・3.5007%・1.2868%。実際の有限計算には初期値も残り、開始前の未知データが自動で入るわけではありません。

架空EUR/USD終値5本・古い順
項目計算・値
終値1.0800・1.0820・1.0840・1.0850・1.0900
SMA5合計÷5=1.0842
EMA5αは正確に2/6、最初の終値を初期値にして逐次更新すると1.0852345679…
差約10.35 pips(この例の1 pip=0.0001)

このEMA5はSMA初期値方式とは別の開始方法です。直近価格の重みが大きいことは、常に価格へ最も近いことや必ず先に反転することを意味しません。

同じ価格経路で更新と距離を比較

同じ配信元・入力価格・足・期間・初期値に揃え、平均の値、判定したシグナル、費用控除後の取引結果を分けます。SMA50とEMA50なら、傾きの変化や交差の定義も先に固定します。

架空終値100・100・100・106・94・100、N=3・α=0.5。EMAは三本目のSMA100から開始し、この方式では最初の二本は未定義です。

足終値SMA3EMA3価格からの絶対距離 SMA/EMA
31001001000/0
41061021034/3
59410098.56/4.5
610010099.250/0.75

六本目はSMAだけが価格と一致。「EMAは常に近い」の反例ですが、SMAの利益優位の証明ではありません。七本目に102を追加するとSMA3=(94+100+102)/3≒98.6667、EMA3=0.5×102+0.5×99.25=100.625。EMAを途中で初期化し直しません。

交差回数・誤シグナル率・損益は経路、保有規則、費用で変わり、一方の普遍的優位はありません。長期のSMA200が広く使われても、その水準での反発や成績は保証されません。

期間は足の本数・時間足も指定

20・50・200は慣例的な値。月20–22営業日なら日足20本は約一か月、50本は二か月強、200本は約九〜十か月です。50本を一四半期、200本を必ず一年とはしません。実際の市場カレンダーへ対応させます。

指定意味
SMA200・M5200×5=1000分、足の時間は16時間40分。休場等で暦時間は延びます。
SMA200・D1200日足で、M5とは違う範囲。絶対的な障壁ではありません。
EMA20・H1一時間足・α=2/21。記憶は20本で突然消えません。
価格の種類Close、典型価格、足の高値安値の中央値は別入力。
描画のシフト線をずらしても未来のEMAは分かりません。
比較条件配信元、カレンダー、欠損処理、利用可能な履歴も揃える。

FidelityはSMAをEMAの初期値として説明。TA-Lib v0.6.4の既定互換モードも最初の期間分のSMAを使い、別モードには最初の価格からの開始があります。同じ後続入力でも初期値差はk回の更新後に(1−α)k倍になり、N本で即座にゼロにはなりません。バージョンと設定を確認してから差を解釈します。

JPY建て価格例:表示の丸めで判定を変えない

次は独自の架空USD/JPYデータ。終値は150.000・150.000・150.012・150.006円、EMA3は三本目のSMAから開始します。表示だけ小数二桁へ四捨五入する仮定で、実際の配信桁数を規定する例ではありません。

表示は同じ150.01でも、生値の大小は違う独自の架空USD/JPY終値150.000・150.000・150.012・150.006円。EMA3は三本目のSMA150.004を初期値、α=0.5。比較規則は厳密な価格>EMAで、表示だけ小数二桁の四捨五入と仮定。仮定に基づく計算四本目の生データ価格150.006 > EMA150.005表示だけ二桁へ丸める価格150.01 = EMA150.01前の足も確認三本目150.012 >EMA150.004
表示は同じ150.01でも、生値の大小は違う. 独自の架空USD/JPY終値150.000・150.000・150.012・150.006円。EMA3は三本目のSMA150.004を初期値、α=0.5。比較規則は厳密な価格>EMAで、表示だけ小数二桁の四捨五入と仮定。

計算値、比較演算子、表示桁を分離します。この例は表示丸めの点検であり、配信桁数や市場の最小価格刻み、売買利益を保証するものではありません。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

四本目の生データ
価格150.006 > EMA150.005 – 差0.001円。SMA3は150.006。条件を生値で判定すると真。
表示だけ二桁へ丸める
価格150.01 = EMA150.01 – 画面の一致は生データの一致ではない。表示を再入力すると条件が偽に変わる。
前の足も確認
三本目150.012 > EMA150.004 – 四本目は条件継続で、新しい上抜けではない。

三本目のEMAは150.004、四本目は150.005、四本目のSMAは150.006。四本目の生の終値150.006はEMAより0.001円高い一方、二桁表示は両方150.01で等しく見えます。厳密な「価格>EMA」条件を表示値から計算すると判定が変わります。演算精度、比較演算子、表示丸めを別々に記録。三本目も価格がEMAを上回るので、四本目を新しい上抜けと呼ぶのも誤りです。

ゴールデンクロスとデッドクロス

短期平均が長期平均を上抜ける関係をゴールデンクロス、下抜けをデッドクロスと呼び、SMA50とSMA200がよく使われます。EMA50へ変えれば別計算。名称は観測済みの交差を示し、新相場の確率や強制的な売買方向を与えません。

  1. 二本の種類・期間・価格・足を指定。
  2. 終値規則なら足確定後に判定。
  3. その日の最終日足平均を同じ日の朝のH4で使わない。
  4. 注文と有効時点は別途定義。過去のCloseで必ず約定できるとはしない。
  5. 無効化、数量、執行条件、出口を事前固定。
  6. 有利な交差だけを選ばず、採用取引全体を費用後で評価。

条件・入口・出口のどれとして使うかを決め、その規則自体を検証します。

平均と別に執行規則を定義する

長期平均を方向フィルター、中期を観察帯、短期を入口の一部にするのは検証可能な枠組みの一例です。効果は仕様・標本・費用次第で、著者の運用実績を主張するものではありません。

  1. 配信元・入力・足・期間・初期値を記録し、その時点で利用できた値だけを使う。
  2. 線の許される側や距離を数値で指定。押し目帯には幅と時間制限を付ける。
  3. 反応の定義、注文を有効にする時点、取消条件を決める。ローソク足も関連する価格データの加工で、自動的に独立した確認にはなりません。

出口・数量・費用を先に固定。予定のリワード対リスク2:1や3:1は価格水準の仮定で、到達可能性や利益の証拠ではありません。通常のSLは滑る場合があり、分割決済も損益分布を変えます。SMAとEMAの比較時にこれらを勝手に変えないでください。

差の説明より先に五つの設定を点検

  • 窓の入替え:SMAが比べるのは新価格と外れる最古価格。
  • 足:M5とD1のSMA200は時間範囲が別で、どちらも自動的に最適・無意味とはならない。
  • 初期値:最初の終値とSMA開始では有限履歴のEMAが違う。
  • 価格と欠損:配信、選択価格、欠損処理を確認。H1のEMA20を数週間の窓としない。
  • 選択バイアス:試したパラメータを全記録し未使用データで評価。慣れた期間や追加条件は優位性の証明ではなく、固定200 pipsの距離に普遍的な継続確率もない。

同じ固定標本と費用で比べる

目的を測れる規則にし、同じデータ、費用、入口、出口、数量と執行で種類と期間を比較します。速い反応は規則次第で助けにも害にもなります。指標を増やしても独立情報が増えるとは限りません。バックテストの全試行と未使用標本も残します。

重みの形と平均年齢を区別

現在の価格を年齢0とするとSMA(N)の加重平均年齢は(N−1)/2。理想的な無限履歴EMAは(1−α)/αで、標準α=2/(N+1)なら同じ(N−1)/2です。N=20では両方9.5本でも現在価格の重みは5%対約9.5238%。EMAには直近20本より古い観測へ(19/21)20×100≒13.5110%の重みがあり、SMAにはゼロです。この独自計算は線の形や交差遅延、利益の出る時機が同じという意味ではありません。有限EMAでは初期値の影響も残ります。

例として日足SMA200を方向、中期EMA50を観察帯、短期EMAを入口へ使う場合も、価格反応と帯の定義を先に固定。D1とH4を組み合わせるなら日足の最終値が分かった時点を維持します。シグナルと後の実行可能価格を別記し、フィルターが除いた利益・損失の両方を記録します。

次の三つの作業

  1. 六本の反例を再計算し、七本目102を追加。EMAをリセットせずSMA98.6667・EMA100.625を確認。
  2. 直近30回の入口が日足SMA200の上か下かを記録し、事前の規則と結果を比較。反対側という理由だけで誤取引と断定しない。
  3. 観察帯・トリガー・無効化を先に決め、採用・不採用シグナルと費用後損益を追跡。不採用件数だけでフィルター性能を測らない。

SMAとEMAの計算基礎、二つのEMAの差を使うMACD、複数時間足と情報の利用可能時点へ進むと、比較条件を整理できます。