マルチタイムフレーム(MTF)分析は、同じ市場を異なる区間で集計して比べる方法です。価格の出所と区間の境界をそろえ、足の開始ラベルと最終値を使える時刻を分けます。下落した1時間の中で短い足が上昇しても矛盾ではなく、次の反転を保証しません。

同じ価格を集計し直すと何が変わるか

長い足は広い範囲、短い足はその内部を示します。「上位足が下位足を支配する」という価格法則ではありません。W1は1週間、D1は業者のセッションに基づく1日、H4はセッションが許す4時間、H1は1時間、M15は15分、M5・M1は5分・1分の集計です。ラベルだけで保有期間やエントリー条件は決まりません。

上位足へ文脈、下位足へ条件という役割を割り当てるのは一つの設計です。高値・安値の構造を使うならピボットがいつ判明するかも定義します。

トップダウンを使う場合の3段階

  1. D1の文脈:最新の確定・受信済みD1終値がSMA200より上なら買い候補、下なら売り候補、という仮のルールを置けます。未確定日足は別入力。平均をまたぐときの扱いも先に決め、移動平均付近だから普遍的にトレンドなしとはしません。
  2. H4の価格帯:過去2回以上止まった支持・抵抗、EMA50、直近の動きの38.2〜61.8%戻りなどを使うなら、選び方・無効化・幅を価格単位で固定。30〜50 pipsという幅は仮パラメーターで、全FX市場の標準ではありません。EMAや戻り比率が反転確率を証明するわけでもありません。
  3. H1の条件:H4帯へ入った時刻と、確定したピンバーや包み足を記録し、その後の実Ask・Bid、数量、損切り、退出を別に定義。帯到達前に入るなら別ルールです。普通ストップは指定値を越えて約定し得ます。

3画面が必須という説明ではありません。閉じた足を使う規則と形成中の値を使う規則を混ぜず、バッファの金額効果も実約定価格から計算します。

同じ1時間でも、最後の15分足と色は一致しない

元の架空Bid EUR/USD、2026年9月22日UTC、09:00〜10:00を四つの完了した半開区間[開始,終了)へ分けます。1 pip=0.0001。実相場記録ではありません。

UTC区間O / H / L / C
09:00–09:151.1020 / 1.1030 / 1.1000 / 1.1005
09:15–09:301.1005 / 1.1010 / 1.0990 / 1.0995
09:30–09:451.0995 / 1.1008 / 1.0992 / 1.1005
09:45–10:001.1005 / 1.1015 / 1.1000 / 1.1010

H1は最初のO、最大H、最小L、最後のCから1.1020/1.1030/1.0990/1.1010。実体−10 pips、全幅40 pipsで、後半2本の15分足は上昇します。四つの終値の平均1.100375はH1終値ではありません。

足の組み合わせと、欠損したデータ

保有期間を想定した役割例は、週単位ならW1/D1/H4、日単位ならD1/H4/H1、時間単位ならH4/H1/M15、分単位ならH1/M15/M5です。人気の順位や最適解を実証した表ではありません。隣接足の4〜6倍という慣習も必須でなく、M15/M5は3倍です。D1に他社H4が必ず6本入るとは限らず、セッション境界と全入力を確認します。

15分足が3本あっても、H1の極値は決まらない

1時間が終わっていても、出力に欠損があれば全OHLCは未取得です。1社・同じ尺度・整合した区間の架空M15で、残る1、3、4本目が100/103/99/102、105/108/104/107、107/110/106/109。2本目は確認済みの休場ではなく欠損です。

横にスクロールすると図全体を確認できます。

部分データから分かる境界と、未知の全OHLC既知の15分足3本の最高値110、最安値99。2本目は欠損し、高値115・安値98だった可能性もあるが、実際に起きたとは主張しない。15分の欠損:値幅は未確定98104110115欠損データ12?34ここでは O=100、C=109 が既知分かる範囲:H≥110、L≤99欠損足は H115・L98 かもしれない110・99 は最終的な極値とは限らない
既知の15分足3本の最高値110、最安値99。2本目は欠損し、高値115・安値98だった可能性もあるが、実際に起きたとは主張しない。

最初のO100と最後のC109は保存されています。H1高値は少なくとも110、安値は高くとも99。欠損足が102/115/98/105なら前後の始終値に接続でき、全体はH115/L98となり得ますが、実際の欠損内容とは主張しません。破線は既知足の極値で、未知足をそこへ閉じ込めません。

MqlRates文書はtimeとopen/high/low/closeを別フィールドにしています。欠損を記録して部分データの境界を残し、全幅を必要とする検出器へ都合のよい埋め合わせを入力しません。

認識と取引まで定義した架空EUR/USD例

段階仮定
D1前の確定終値1.0850、仮定SMA200=1.0750を上回る
H41.0820への戻りで50%戻りとEMA50が重なる価格帯
H11.0820で確定する強気の包み足
買い確定後Ask1.0830での約定を仮定
普通ストップBid1.0790、入口から40 pips
目標Bid1.0950、入口から120 pips

1lot=100,000 EUR、USD口座、1 pip=0.0001 USD/EUR、費用なし。仮定した実約定どおりなら粗損失400 USD、粗利益1,200 USD、利益/損失=3です。実際の普通ストップは滑り得るので400 USDは予定粗リスクで上限保証ではありません。口座通貨換算、費用、数量刻みも別途必要で、1%予算は選択した規則にすぎません。これは架空の条件計算であり、実際の年月・保有日数・到達結果を示しません。

先読み、時計、指標の重み付け

  • 09:30後:元のUTC例では2本だけ確定。形成中H1はO1.1020、現H1.1030、現L1.0990、最新1.0995。最終C1.1010はまだ不明です。
  • 09:45後:最新確定M15は10 pips上昇しても、形成中H1は始値より15 pips下。確定H1を使う規則の文脈はまだ08:00〜09:00です。「後」は業者データの受信・確定を含み、通信遅延ゼロを意味しません。
  • 画面数:このM15→H1照合は2枚でできます。3枚、4枚を足すなら答えたい問いを定義し、同じ観測を別表示して独立証拠が増えたとはしません。
  • 価格と境界:業者、Bid/Ask/Last、セッション、タイムゾーンを合わせます。表示ゾーンを変えても足を再構築したりPineの計算ゾーンを自動変更したりしません。

元の別モデルでM15終値を100、100、100、100、100、110、100、110とするとH1終値は4番目と8番目の100、110。SMA2(H1)=105、SMA8(M15)=102.5です。他の6終値だけ20増やすとM15平均117.5に変わってもH1平均105のまま。同じ2時間を覆っても重みは違います。H1平均を再現するには4番・8番へ各1/2を与えます。MACD等を複数足に使って値が違っても必ず矛盾するとは限らず、独立した市場データにもなりません。

日本時間で「足が終わった」と「値を受け取った」を分ける

独立した架空USD/JPY例で、H1区間17:00〜18:00 JST、最終終値150.12、その確定値の受信18:00:02を仮定します。18:00:01に「最新の受信済み確定H1終値>150.10」で判断するなら、まだ届かない150.12は使えません。以前に受信した16:00〜17:00の終値149.98が最新の適格入力で、この条件はfalseです。18:00:02に受信確認できれば150.12でtrueになります。

150.12−149.98=0.14円、例の1 pip=0.01円なら14 pipsですが、これはそのまま約定差益ではありません。決定時刻と受信時刻は1秒違い、決定前に値を置くバックテストは将来情報を混ぜます。このH1区間はUTC08:00〜09:00に対応します。JST表示へ変えるだけでデータ到着を早められず、2秒は実測遅延ではなく教育用仮定です。

毎回残す記録

開始・終了・業者が利用可能にした時刻、出所、価格種別を記録します。09:00ラベルは09:00に最終値を使える意味ではありません。欠損足、確定と未確定、各足の役割、衝突した条件、実約定と費用も残します。1か月の記録は事例を残せますが将来の最適な組み合わせを証明しません。

JSTの足終了とデータ利用可能時刻

JSTの足終了とデータ利用可能時刻架空USDJPY、17〜18時の最終C150.12が18:00:02に受信される条件。仮定に基づく計算18:00:01の判断149.98を使用18:00:02に受信確認150.12を使用可能価格差0.14円14 pips
JSTの足終了とデータ利用可能時刻. 架空USDJPY、17〜18時の最終C150.12が18:00:02に受信される条件。

足のラベルだけでは、その値が判断時点で利用可能だったとは言えません。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

18:00:01の判断
149.98を使用 – 最新の受信済み確定足。150.10超えはfalse。
18:00:02に受信確認
150.12を使用可能 – 新しい終値なら150.10超えはtrue。
価格差0.14円
14 pips – 例のpip0.01円。約定利益や実測遅延ではない。

次の演習

元の四つのM15からH1を再集計し、1本を消したとき残るO・CとH/L境界を記述してください。次に確定値を受信した時刻で判断を再現。ローソク足の測定へ進み、図の色と入力条件を分けます。決まった回数のデモだけで実資金へ進む根拠にはしません。