MACDの交差は二つの指標値の比較であり、注文、買い手の人数、次の値動きの記録ではありません。M、シグナルS、差Hを分け、数値列で確認します。計算実装も必要です。MT5標準MACDは、最初に示すEMAシグナル版とは異なります。

MACDの構造:三つの系列とゼロ

最初のモデルはM=EMA(12, Close)−EMA(26, Close)、S=EMA(9, M)、H=M−Sです。12・26・9は本数であって、常に週数ではありません。TradingViewは価格の入力と移動平均の種類を選べます。MT5標準はS=SMA(9, M)、棒がMそのもの。MQL5のiMACDは0のMAIN_LINEと1のSIGNAL_LINEを返すため、Hが必要なら別に差を計算します。

系列意味
M短期EMAから長期EMAを引く
S選択した方式でMを平滑化する
HM−S。このモデルのヒストグラム
M=0二つのEMAが等しい

M>0は短期EMAが長期EMAを上回る状態です。H>0はM>Sですが、差が拡大中、価格が上昇中という意味ではありません。符号と変化を分けます。

シグナル線との交差を定義する

厳密な上向き交差を、前の確定足H<0、現在の確定足H>0と定めます。下向きは前H>0、現H<0です。Mとゼロの比較とは違います。例えばM=−6、S=−8ならH=+2でもMは負です。未確定足の交差は終値までに消え得ます。ちょうど0や表示の丸めをどう扱うかも指定します。

架空EUR/USDの移動平均差をpip単位(1pip=0.0001)でM=[10,11,13,12.5,10]とし、初期S=12を与えます。EMA9の係数2÷(9+1)=0.2、S(t)=0.2M(t)+0.8S(t−1)。次の表は価格全履歴でもバックテストでもありません。

tMSH
01012−2
11111.8−0.8
21312.04+0.96
312.512.132+0.368
41011.7056−1.7056

交差はt=2と4ですがMはずっと正。t=3はHが正でも縮小しています。ゼロ規則の確認用にH=[−1,0,0,+1]を使うと、隣接足が厳密な負から正という規則では0件、前H≦0という規則では最後に1件、最後の非ゼロ符号を記憶する規則でも1件。H=[+1,0,0,+1]なら、前H≦0の規則だけ1件、他の二つは0件です。観測された成功率ではなく、検出器を確認する合成入力です。

ダイバージェンス:選んだ価格と指標の転換点

価格の二つの転換点と、それに対応する指定系列MまたはHの転換点を比べます。後の足で確定する規則なら、高安値が付いた瞬間にはその確定を利用できません。MとHを途中で入れ替えません。

強気ダイバージェンス

架空EUR/USDの安値1.0700→1.0650は50pip下落。対応Mは−0.0012→−0.0008で0.0004、移動平均差4pipの上昇です。価格の安値切り下げとMの安値切り上げを記述します。反転、時期、利益は保証しません。

弱気ダイバージェンス

架空高値1.1000→1.1080は80pip上昇。対応Mの高値が下がる場合を選びます。Hを使うならヒストグラムの例と明示し、Mの低下だけからHの低下を推測しません。

別のD1ヒストグラム例。最初の架空高値は価格1.0820、H+0.0015。2週間後と仮置きした高値は価格1.0890、H+0.0008。価格70pip上昇、Hは指標差7pip低下。全OHLC履歴は提示していません。セットアップを認識した後、Bid 1.0890で売れたと仮定し、買い戻しストップAsk 1.0930で40pip、目標の買い戻しAsk 1.0750で費用前140pip、比率140÷40=3.5です。後で確定する高値へ過去に売れるという仮定ではありません。通常ストップは不利な約定になり得、費用も省略しています。

ダイバージェンスは反転前に現れることも、継続・失敗することもあります。交差より普遍的に優秀だと示すものではありません。完全に定めた条件を、文書化した標本で比較します。

MACDが100倍でも値動きが強くなったとは限らない

横にスクロールすると図全体を確認できます。

表示単位がMACDの高さを変える同じ状態を100倍違う単位で表示。M2、S1.5、H0.5とM200、S150、H50。パネルごとに比例した尺度。数字100倍でも情報は同じ単位AM 2S 1.5H 0.5A × 100M 200S 150H 50H=M−S:単位変更で0.5から50へ全価格とEMA初期状態を100倍符号と大小関係は変わらない棒の高さで市場を順位付けしない
同じ状態を100倍違う単位で表示。M2、S1.5、H0.5とM200、S150、H50。パネルごとに比例した尺度。

架空の状態をEMA12=102、EMA26=100、M=2、S=1.5、H=0.5とします。全価格、両EMAの初期状態、シグナルの初期状態を100倍し、同じ係数と更新を使うとM=200、S=150、H=50です。完全な初期化履歴は示していません。二つのパネルは軸の尺度も比例して変えており、新しい情報を加えていません。

両方でM>0、H>0、H/S=1/3。正の100倍は交差を作ったり消したりしません。異なる銘柄の強さを比べるには、別途定義した尺度が必要です。MACDは上限・下限が固定された百分率評価ではありません。

ヒストグラムの符号と変化を読む

  • H=M−Sの正負は二系列の上下関係。買い手の人数や資金流入ではありません。MT5の棒がMなのか、別計算のHなのかを先に確認します。
  • 差の拡大はMとSの離れ方を測るだけで、保有継続の命令ではありません。出口はリスクと戦略の規則で定めます。
  • Hの局所的最大は選んだ窓内のM−Sの最大。価格の最大の動きとは限らず、確認には後の足が必要な場合があります。
  • −2から−1はHの上昇でも、負の棒は短くなります。ゼロへの接近と数値の増減を分けます。

円の追加例:同じMでも平均の種類で交差が変わる

USD/JPYの指標差を円/USD単位で与える架空系列です。8本のM=0の後に0.090、次に0.015。価格全履歴はなく、EMA9シグナルはその8本の末尾でS=0と明示的に初期化します。SMA9も比較する9本が揃った時点から使います。

対象足MEMA9のS/HSMA9のS/H
0.0900.018/+0.0720.010/+0.080
0.0150.0174/−0.0024約0.0116667/+0.0033333

同じ連続2本で、EMA版のHだけが厳密な正から負へ交差。SMA版は正のままです。現在のMは両方0.015で、MT5の主系列の棒が正でも、別計算のHが正とは限りません。円価格の指標差であって円損益ではなく、注文数量も出口も未設定です。表示を丸めて0に見える場合もあるため、判定は定めた精度の元値で行います。「12,26,9が同じ」だけでは同一実装にならない実例です。

典型的な落とし穴

  • 交差すべてで注文する:イベント検出と注文規則は別。価格条件、既存建玉、費用、出口を定めます。
  • 自動的に最良の時間足を決める:M5なら5分足、H4なら4時間足を数えます。入力履歴が違うだけで固定の遅れ本数や収益の優劣は決まりません。
  • MのゼロとSとの交差を混同する:前M=−5.5、S=−5.25でH=−0.25、現M=−4、S=−5でH=+1なら上向きM/S交差でもMは負。ゼロ線越えではありません。
  • 唯一の基準にする:式は支持線や次の経済発表を知りません。指標だけで利益が出るかと合わせて検証します。
  • 記録なしに設定変更:価格入力、短長平均の方式、シグナル方式、本数、初期化を残し、選択に使わなかったデータで比較します。過去への適合が未来の利益を示すわけではありません。

MACDは受信済み価格を変換します。次の数日の予報ではなく、現在の状態、新たなイベント、実際の取引を記録で分けます。

注文前に確認すること

  1. 方式と確定足:M/S/Hの式と入力価格を指定。上位足の条件があるなら、変動中の値ではなく必要な確定を待ちます。
  2. 実際のイベント:前と現のM・S・H、ゼロ規則、Mの正負を記録。同じ状態を毎回新しい交差として数えません。
  3. 価格とカレンダー:事前に条件を定めます。発表は執行環境を変え得ますが、代数上の交差を消したり次の結果を保証したりしません。
  4. 取引モデル:入口と出口のBid・Ask、数量、口座通貨換算、費用、不利な約定例を計算。上の40pipは予定リスクであり最大損失保証ではありません。

円の同一M列でシグナル方式を比較

円の同一M列でシグナル方式を比較8本の0の後にM0.090、0.015。EMA9は末尾の0でS0を明示初期化。仮定に基づく計算EMA9で現在の差H−0.0024SMA9で現在の差H約+0.0033333両方の現在の主系列M+0.015
円の同一M列でシグナル方式を比較. 8本の0の後にM0.090、0.015。EMA9は末尾の0でS0を明示初期化。

同じ12・26・9でも計算方式と表示する系列をそろえないと交差を比較できません。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

EMA9で現在の差H
−0.0024 – 直前+0.072から負へ。厳密な下向き交差。
SMA9で現在の差H
約+0.0033333 – 直前+0.080から正のまま。
両方の現在の主系列M
+0.015 – 主系列の棒の正負ではHの正負を代用できない。

記録で手順を試す

デモや保存済みデータで、期間・方式・ゼロ規則を指定して交差を数えます。何回成功するはずだという比率を置かず、実行可能な入口と出口、費用を定めて評価します。取引日誌へ状態とイベント、採用条件を記録し、時間足の変更も比較対象として扱います。H1以上なら万能という規則ではありません。