CFD(差金決済取引)は、原資産を所有することなく価格変化へのエクスポージャーを持つ契約です。数量、費用、調整金は契約で決まります。通貨や株式の現物購入とは同じではなく、提供の可否、個人向け保護、税務は国・契約法人・商品・顧客区分で変わります。

CFDは価格差を精算する契約

新規と決済の価格差に、契約数量や倍率を掛けて差額を精算します。参照する通貨や株式の現物を受け取る契約ではありません。資金調達や各種調整により、原資産を直接保有した場合と結果が異なることがあります。受渡しを伴う現物の外貨交換は、通貨数量と決済義務を持ち、決済日はペアや契約で確認します。全てが同じT+2とは決めません。

価格損益には実際の約定価格を使います。買いのAskと決済売りのBidから求めた価格差にはスプレッドが既に含まれます。別の手数料・資金調達費は、その合計にまだ含まれていない場合にだけ計上します。

買い・売りと、想定元本・必要証拠金を分ける

架空のEUR/USDを100,000 EUR/lotとし、1 lotを1.0850で買い、1.0900で決済するなら、(1.0900−1.0850)×100,000=500 USDの価格利益です。売りは同じ値動きで符号が反転します。別費用前のUSD金額で、別通貨口座では換算条件を確認します。

想定元本は100,000 EUR×1.0850=108,500 USD。外国制度の説明に使う独立した仮定の倍率30なら、必要証拠金は約3,616.67 USDです。担保が最大損失になるわけでも、残りの金額を現金で借りた証拠でもありません。最小数量と売買できる方向も商品次第です。ETFとCFDの所有権の違いも比較してください。

2018年ESMAの枠組みと日本の制度を混同しない

ESMAの2018年の一時的介入は、対象となる欧州の個人向けCFDに倍率制限と口座保護を設けました。下表はその歴史的な枠組みであり、世界中での提供許可や現在の全口座の条件ではありません。その後の各国ルール、契約法人、顧客区分を確認します。

2018年の区分新規建玉の倍率上限
規定上の主要通貨ペア30:1
その他通貨ペア・金・主要株価指数20:1
金以外の商品・その他株価指数10:1
個別株式等5:1
暗号資産2:1

英国・豪州は別の制度です。この表から、現在そこで暗号資産CFDを個人へ提供できるとは結論できません。2018年にESMAが示した口座損失の74〜89%という範囲と、現在の提供会社ごとの警告も別です。損失口座であることだけでは、損失金額や口座の全資金を失ったかはわかりません。

日本の個人向け店頭FXについて金融庁は取引金額の4%以上の証拠金を差し入れ・維持する制度を説明しています。これは25倍以下に対応しますが、株式・指数・暗号資産等の全CFDを一律に25倍とする条件ではありません。日本居住者への取扱いは、実際の登録・商品・契約条件を確認します。

なぜ、価格が変わらない直後でも損失になるのか

架空のEUR/USDをBid1.1000/Ask1.1002、数量10,000 EURとします。買いはAsk1.1002で開き、同じ配信価格のままBid1.1000で全量を決済する仮定です。

横にスクロールすると図全体を確認できます。

価格が変わらなくても損失になる理由仮定のEUR/USDはBid1.1000、Ask1.1002のまま。10,000 EUR相当のCFDを買い、直後に売って決済すると、別費用前で2 USDの損失。想定元本10,000 EUR・価格変化なし買い建玉を開くASK 1.1002直後に売って決済BID 1.1000(1.1000 − 1.1002) × 10,000 EUR= −2 USD価格が変わらない仮定
約定差や別手数料・資金調達費なしの仮定。価格差−0.0002 USD/EUR×10,000 EUR=−2 USDです。別の口座通貨への換算は別途確認します。実際の約定を保証する図ではありません。

損失2 USDは、Askで買ってBidで売る一つのスプレッドから生じます。同じ2 USDをさらに引くと二重計上です。BidとAskを、チャートの表示価格と区別します。

スプレッド、別費用、調整を一つずつ照合

スプレッド、手数料、翌日等への持越し費用、商品固有の調整を確認します。ECN、STP、standardという名称だけでは総費用は決まりません。仮に価格変化のない往復でスプレッドの影響2 USD、別手数料1 USDなら合計3 USDの負担。提供会社の現在の価格表ではありません。

ロールオーバー時刻、買い・売りの料率、単位、複数日分の計上は仕様次第です。政策金利差だけで支払・受取は決まりません。株式CFDには配当調整がある場合がありますが、株主として配当を受け取る権利や議決権がCFD自体から生まれるわけではありません。

IGの公式説明も、提供するCFDの調整方法と時点には条件や例外があることを示しています。これを全社に同一の調整金額・税務が適用される証拠とは扱いません。下のJPY例は実在商品の条件を再現したものではありません。

強制決済とマイナス残高保護は別の仕組み

証拠金の警告、強制決済、マイナス残高保護は別々に確認します。英国FCAの対象となる個人向け取引では、所定の必要証拠金の50%をnet equityが下回ると、市場条件が許し次第、対象の建玉を決済する規則があります。全ての警告が100%で届く、最大損失の建玉から必ず順に閉じる、といった一般則ではありません。

対象口座のマイナス残高保護は、その口座内の対象資金に責任を限定する仕組みであり、その資金の損失を防ぐ保証ではありません。業務用・プロ顧客、先物、別商品へ自動で広げません。日本の全口座へも同じ保護を移せません。適用範囲はMiFID II等の制度の説明と実際の契約で確認してください。

税務は居住地・商品・取引先・年分で確認

CFDという呼称だけで税務区分や税率は決まりません。居住地、所得区分、取引の仕組み、相手方、対象年を確認します。ポーランドのPIT-38は外国制度の例であり、日本の申告書ではありません。外国口座の利用や税務書類が届かないことだけで免税にはなりません。

日本では国税庁が示す「先物取引に係る雑所得等」に該当するかを、対象となる取引・相手方の条件と照らします。一律に全ての海外取引へ同じ申告区分や損益通算が適用されるとは扱いません。個別の税額をこの記事の損益モデルから計算することもできません。

約定、別費用、調整金、通貨換算の記録を保持します。前日の中央銀行レートを使うといった他国の扱いを、日本の全取引へそのまま移しません。税務上の居住地と記録から対象を整理できます。

誤解しやすい五つの点

  • 株式CFDを株式そのものと扱う。契約上の調整金と株主の権利は区別します。
  • 保有期間の資金調達を無視する。長期保有と費用を確認します。
  • 利用できる最大倍率を目標にする。欧州の1:30の枠組みと実効エクスポージャー・損失予算は別です。
  • 高い倍率だけで全ての保護の不在を断定する。法人、商品、顧客区分と契約を確認します。
  • スプレッドだけで費用を比べる。往復の総費用を計算します。

追加の例:JPYの調整入金だけでは利益がわからない

架空の指数CFDを2契約買い、1ポイント当たり1契約100 JPYと仮定します。参照価格1,000から997へ3ポイント下がれば、価格損益は(997−1,000)×100×2=−600 JPY。契約上の調整金+600 JPYが別に入り、建玉全体の手数料100、資金調達支払300 JPYとします。

仮定の内訳JPY損益
参照価格差の効果−600
契約上の調整金+600
建玉全体の手数料−100
資金調達支払−300
合計(税金前)−400

調整金が入っただけで600 JPYの純利益とはいえません。この仮定では価格損益と調整が相殺し、残る負担は400 JPYです。異なる仮定として、参照価格が1,000のままで同じ調整・費用なら0+600−100−300=+200 JPY。入金欄だけでは二つを区別できません。

実際の指数の値動きが調整分だけになる予測ではなく、提供会社の調整額の保証でもありません。契約倍率、数量、価格損益、別の調整・費用を同じ時点・通貨で照合するための例です。現物の所有権や個別の税務結論は導きません。

調整入金だけでは純損益はわからない

調整入金だけでは純損益はわからない架空の指数CFD。1ポイント100 JPY、2契約、参照価格1,000→997という独立した例。仮定に基づく計算価格損益と調整金−600+600 JPY手数料と資金調達−100 − 300 JPY合計(税金前)−400 JPY
調整入金だけでは純損益はわからない. 架空の指数CFD。1ポイント100 JPY、2契約、参照価格1,000→997という独立した例。

契約倍率・数量・価格差・調整・別費用を同じ通貨で足し合わせます。実際の値動きや調整額を保証する例ではありません。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

価格損益と調整金
−600+600 JPY – 二つを別々に照合
手数料と資金調達
−100−300 JPY – 建玉全体の別費用
合計(税金前)
−400 JPY – 調整入金=利益ではない

口座を検討する前の確認

  1. 契約する法人と対象サービスの権限を公的登録で確認する。規制当局の名前やTier-1という宣伝だけでは居住者の利用資格や全保護は確認できません。提供会社の確認項目を参照します。
  2. 仕様の数量単位で利益・損失・持越しを計算する。現物の所有、価格差契約、必要証拠金を区別します。
  3. デモで新規・決済・履歴照合を練習する。実口座の約定と違う場合があり、固定の週数では準備完了を証明できません。
  4. 生活資金と区別した損失予算と、別の必要証拠金条件を確認する。正しい計算やデモの利益は将来の実利益を保証しません。