オンバランス・ボリューム(OBV)は、終値の前足比で符号を決めた出来高を累積します。MetaTraderの資料はJoseph Granvilleの指標と説明していますが、計算から機関投資家や流入資金を特定できるわけではありません。通貨チャートでは出来高の出所と単位を先に確認します。

欠落は、一つの足の加算額だけを消すのではない

完全な架空データは終値t0=100、t1=102、t2=101、出来高はt1で300、t2で200。t0のOBVを0とします。出来高の単位は同じ任意単位で、実際の市場出力ではありません。

横にスクロールすると図全体を確認できます。

直前の終値欠落でOBVの符号が変わる架空終値100、102、101。t1出来高300、t2出来高200、開始OBV0で完全列は0、300、100。t1を消すと101と100を比較し、最後は200になる。欠落した足は、次の符号も変える100102101完全列:100 → 102 → 101欠落後:100 → 101完全OBV:0+300−200=100t1なし:0+200=200t2の符号はマイナスからプラスへ
架空終値100、102、101。t1出来高300、t2出来高200、開始OBV0で完全列は0、300、100。t1を消すと101と100を比較し、最後は200になる。

青は完全列、赤破線はt1を削除した列。完全列ではt1で+300、t2は101<102なので−200、最終100です。t1が欠けると101>100として+200、最終200。単に+300を差し引く結果にはなりません。欠落とはレコード削除で、出来高0の足とは別です。定数を足して開始位置をずらしても符号の誤りは直せません。連続性と直前終値を復元し、無理なら不完全範囲を明記して、そのダイバージェンスを解釈しないようにします。

OBVの計算方法

今のCloseを直前のCloseと比較します。今のOpenではありません。高ければ今回の出来高を足し、低ければ引き、等しければ据え置き。同じ出来高なら1pip上昇でも10pips上昇でも寄与は同じです。開始定数は水準をずらすため、ゼロ突破自体は普遍的な売買条件ではありません。

元の架空列を1.1000、OBV0から開始します。単位は受信ティック数です。

足Closeティック数寄与OBV
A1.1010100+100100
B1.1005180−180−80
C1.10053000−80
D1.1020120+12040
E1.101560−60−20

100−180+0+120−60=−20。Cは最多300ティックでも同値引けなので寄与0。開始値を1,000に変えれば最後は980となり、差分は変わりません。

FXの出来高は何を数えるか

業者のティック数は、世界の店頭為替市場のライブ売買総額ではありません。歴史的背景としてBISの2022年4月調査は、全為替商品・net-net基準で1日7.5兆USD、うちスポット2.1兆USDと報告しました。2026年の現在推計でもチャート配信でもありません。

MetaTraderはFXのtick volumeを、その配信での価格変化回数と説明します。100ティックは100約定、売買元本額、参加者の人数を特定しません。MT5のiOBVは出来高種別を受け取り、VOLUME_TICKとVOLUME_REALを選べますが、その銘柄の実データ提供を確認します。「real」を選ぶだけで欠落約定は生まれず、未提供は市場活動0の証拠でもありません。本記事では世界の売買高との相関係数を推計していません。

OBVは入力列の符号付き累積であり、買い手・売り手の圧力や純資金流入の直接カウンターではありません。配信、出来高種別、足境界、欠落が変われば計算も変わり得ます。「先物なら常に信頼性が高い」「最低H1/H4なら十分」という一律な結論も、式からは導けません。

ダイバージェンスから言えること

上のDはClose1.1020でAの1.1010より高いのに、OBVは40でAの100より低い。しかしDは120ティック、Aは100ティックです。途中Bの−180を含む累積経路が違うため、OBVが低いことは直近の高値で気配更新が少なかった証拠になりません。

弱気の比較は価格高値切上げと対応OBV高値切下げ、強気は価格安値切下げと対応OBV安値切上げです。価格と指標のどの極値を結び付けるかを定義します。累積値の低下を総活動の減少、機関投資家の売り、既知の反転確率へ置き換えません。

H4での独立した架空例

EUR/USDの4時間足で2週間上昇し、最初の高値1.0920、短い調整後に1.0975へ進んだと仮定します。対応OBV極値を500、400とすれば弱気ダイバージェンスの例。ただし新高値の出来高減少や機関投資家の売りの実測ではなく、勝率もありません。

後続の確定足2本を要するpivotなら、利用できるのはその2本が閉じた後です。高値が付いた当時に確定済みだったように戻して売買判定しません。別の価格由来指標を重ねても、それだけで独立した確認になるわけではありません。

よくある間違い:集約、丸め、データの混同

A〜Eを1本に集約すると出来高合計760、終値1.1015は直前1.1000より高いので寄与+760です。個別5本の合計−20とは一致しません。計算式の性質であり、これだけでプラットフォームの不具合とは言えません。時間足とセッション境界はルールの一部です。

小さな終値差でも、出来高全体の符号が変わる

他を保ちCのCloseだけ1.10050から1.10051または1.10049へ変えると、差はEUR/USDの±0.1pipです。それでも300ティックの寄与は+300または−300となり、最終OBVは+280または−320。元は−20です。後のD・Eの符号は変わりません。小数4桁の出力ではこの違いが隠れる場合があります。

CMEは指定された取引場所・日付の契約数量を報告します。スポットFXの世界総額とは別単位です。先物では対象限月・ロール・連続足の作り方も記録。データを取り替えただけでは、手法の優劣や収益性の原因を切り分けられません。M1/M5を避ければ優位性が生まれるという保証もありません。

A/DとCMFは別の式

A/Dは同じ足のHigh–Lowレンジ内でCloseがどこにあるかにより出来高を重み付けして累積。CMFは選んだ窓の重み付き寄与合計を出来高合計で割ります。20・21期間は慣例であって必勝設定ではありません。High=Lowや分母の出来高合計0の扱いは実装を確認します。どちらも名前だけから機関投資家の資金額を読めません。

同じ入力で式を比較し、直感的な見栄えで戦略を選びません。ボリュームプロファイルは選択出来高を価格帯別に配分する別の表示で、そのデータ範囲も指定します。同じ価格を使う第二の指標は、独立した証拠とは限りません。

円の例:OBVが0でも損益は0ではない

独立した架空USD/JPY列で、開始Close150.00、OBV0、その後2本の出来高は各100ティックとします。経路Aは150.01→149.99、経路Bは149.99→150.01。どちらもOBV最終0ですが、開始150.00で1,000USDを買って最後のCloseで売れたという別の仮定では、Aの価格損益−10円、Bは+10円です。

これは実約定可能性を確認した取引ではなく、スプレッド・手数料・滑り0の単位比較。OBVの0は円残高でも損益分岐でもありません。符号だけでは価格変化の大きさを保持できないことが理由です。円を原資とする読者も、ティック累積を円の利益へ換算しないようにします。

OBV0は、円の損益分岐ではない

OBV0は、円の損益分岐ではない架空USD/JPY、開始150.00、各足100ティック。別に1,000USD買い、費用0・終値決済を仮定。仮定に基づく計算経路AOBV0/−10円経路BOBV0/+10円
OBV0は、円の損益分岐ではない. 架空USD/JPY、開始150.00、各足100ティック。別に1,000USD買い、費用0・終値決済を仮定。

同じ符号付き累積でも価格差は異なります。ティック数を円利益へ読み替えません。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

経路A
OBV0/−10円 – 150.01→149.99。+100−100、価格差−0.01円。
経路B
OBV0/+10円 – 149.99→150.01。−100+100、価格差+0.01円。

次に行う検証

  1. 配信元、銘柄、出来高種別、足間隔、セッション境界、履歴開始点、出力精度を記録し、上昇・下落・同値を手計算します。
  2. 極値選択と情報の確定時刻を記述。きれいな過去例だけでなく、却下例と後で消えた候補も保存します。
  3. 入口・出口・数量・費用は別のルール。ダイバージェンスという測定条件だけから優位性を結論しません。
  4. 同じ評価標本と費用でOBVあり・なしの完全ルールを比較し、別期間でも評価。試した全バージョンを検証記録に残します。
  5. バックテストの進め方へ移る前に欠落と精度を修正。先物とスポットの異なるデータ比較だけで「精度が上がった」と判断しません。