2022年、Fedが引き締めを進める一方、日本銀行はマイナス金利の枠組みを維持していました。これは金融政策の相違の歴史例で、現在の設定やUSD/JPYの変動を単一要因で説明する証拠ではありません。日銀は2024年3月にマイナス金利政策を終了しています。日付のある資料でFed・ECB・日銀を比較しましょう。

政策の相違を見る前に機関と指標をそろえる

金融政策の相対比較は為替分析の一要素です。両通貨の政策手段、適用中の水準、予想経路を整理し、物価、景気、リスク、市場価格も考えます。ダイバージェンスは設定や経路の相違で、為替の計算式ではありません。

FOMCは投票権を持つ12人で構成され、非投票の地区連銀総裁も議論に参加します。ECBの政策理事会は金融政策などを決め、日銀の政策委員会は9人です。議長や総裁一人の予測と機関の決定は区別します。

比較対象の指標名を省略しない
機関指標区別すること
Fed翌日物フェデラルファンド金利の誘導目標レンジ上限・下限・便宜的中央値と実際の市場金利。
ECB預金ファシリティ金利翌日物預入。週次の主要リファイナンス、翌日物限界貸出は別金利。
日銀無担保コール翌日物の誘導方針過去の政策金利残高への付利や長期利回りと同一視しない。

金利差だけでキャリー取引の収益は決まりません。実際の調達、運用、為替、ヘッジの条件が必要です。予測や市場から推計した数値には出所と時刻を付けます。仮定やリスクプレミアムを含み得て、全参加者が同じ結果を予想した証拠ではありません。フォワードガイダンスも条件付きの説明を無条件の約束へ変えません。

追う銀行と公表物の地図

  • USD:FedのFOMC目標、実施資料、声明。Fed決定の読み方。
  • EUR:ECB政策理事会と三つの異なる主要金利。
  • JPY:日銀の短期誘導方針と市場調節。日銀政策と円。
  • GBP:BoEの決定、個別の提案、評価。BoEの票の読み方。
  • CHF・CAD:SNB、カナダ銀行それぞれの指標とカレンダー。原油やリスクは背景で、固定の通貨方向ルールではありません。

すべてが年8回ではありません。SNBの定例評価は3・6・9・12月。カナダ銀行は年8回の予定発表日を設けます。声明、見通し、会見は同一資料ではなく、追加会合もあり得ます。各機関の公式予定を確認します。

短期と長期で金利差の符号が変わる

架空の市場A・Bで、同時点・同じ満期・同等と仮定する信用の、各通貨建て名目ゼロクーポン債利回りを比較します。現在の政策金利ではありません。

横にスクロールすると図全体を確認できます。

短期と長期で金利差の符号が変わる架空の市場Aは1年4%、10年3%。Bは1年3%、10年4%。共通の2〜5%目盛でA−Bは1年+1ポイント、10年−1ポイント。線は二つの点を結ぶだけで途中の推計ではない。満期が違えば金利差の符号も変わる架空のゼロクーポン利回り A / B2%3%4%5%A: 4%A: 3%B: 3%B: 4%1年10年1年のA − B:+1ポイント10年のA − B:−1ポイント比較する前に満期を記録する
1年ではA4%・B3%、10年ではA3%・B4%。共通2〜5%目盛。線は観測した2点を結び、途中の満期を推計しません。

1年のA−Bは+1パーセントポイント、10年では−1ポイント。Aの1年とBの10年を引いて同じ期間の比較にしてはいけません。費用や通貨換算後の収益は計算していません。ECBの利回り曲線の説明も、市場の利回りと残存満期の関係を扱います。短期政策金利をすべての満期へ延長しないことが要点です。

利下げでも予想より小さい場合を計算する

以下はすべて架空です。「Fed目標レンジ中央値 − ECB預金金利」を便宜的な比較に使うと宣言します。Fed4.25〜4.50%なら中央値4.375%、ECB3.00%との差は1.375ポイント = 137.5 bp。銀行の預金利息や口座スワップの収益ではありません。

前回との差と予測との差を別に計算
架空の状態Fedレンジ中央値ECB3.00%との差
以前4.25〜4.50%4.375%137.5 bp
予測:両端50 bp引下げ3.75〜4.00%3.875%87.5 bp
モデルの実際:25 bp引下げ4.00〜4.25%4.125%112.5 bp

実際の差は以前より25 bp小さく、予測より25 bp大きい。利上げではなく、予測より小さな利下げです。この予測は一つのシナリオで、市場全体の合意ではありません。さらにFed中央値を4.125%で固定し、ECBだけ3.00%から2.75%へ下げると、差は112.5 bpから137.5 bpへ拡大します。相手側が変わるだけでも比較は変わり、EUR/USDの方向までは決まりません。

追加の比較:同じ平均予測でも内訳は違う

二つの架空予測を比べます。Aは4.125%だけに100%の重み、Bは4.00%と4.25%へ各50%の重みを置きます。どちらの加重平均も4.125%ですが、4.25%以上へ置いた重みはAで0%、Bで50%。平均値だけからこの内訳を復元できません。

仮に発表された水準が4.25%なら、両平均との差は+12.5 bpで同じです。それでもBにはその結果の候補があり、Aの単一点予測とは違います。これは意図的に作った重みで、市場先物から推計した確率や実際の予測調査ではありません。平均、予測レンジ、重みの由来を別欄へ保存するための例です。

適用日と情報の順番を取り違えない

もう一つの架空モデルでは、Fの中央値4.25%、Eの預金金利3.00%で差125 bp。Fは4.00%をD+1から、Eは2.75%をD+6から適用すると発表します。

発表後も同時に適用されるとは限らない
期間適用中F/E差
D+1より前4.25% / 3.00%125 bp
D+1〜D+54.00% / 3.00%100 bp
D+6以降4.00% / 2.75%125 bp

発表直後に両方の将来値を置くと、中間の100 bpを見落とします。ECBの公式表は適用開始日を明記します。この架空日程は裁定取引ではなく、中央銀行の指標が自分の調達・運用金利として使えるとは限りません。市場価格は適用前に発表を反映することもあります。

FOMCの定例会合議事要旨は通常、政策決定から3週間後に公表されます。日銀も主な意見と議事要旨を別に公表します。後日資料は元の発表時には使えません。JSTで記録する際も、現地の発表日時と時刻帯を残し、日付を勝手に前へ戻しません。

通貨ペアには二つの通貨がありますが、二つの政策の文字通りの差ではありません。短時間の値動きやスプレッドには実測データが必要です。政策の相違から、最初の反応の後に長いトレンドが続くとは断定しません。

同じ4.125%の平均でも予測の内訳は違う

同じ4.125%の平均でも予測の内訳は違う重みを意図的に置いた架空例。先物価格から推計した実確率ではありません。仮定に基づく計算予測A4.125%のみ100%予測B4.00%と4.25%を各50%結果を4.25%と仮定どちらも平均差+12.5 bp
同じ4.125%の平均でも予測の内訳は違う. 重みを意図的に置いた架空例。先物価格から推計した実確率ではありません。

平均値から全員の予想や結果ごとの重みを復元しない。出所・時刻・内訳を保存する。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

予測A
4.125%のみ100% – 4.25%以上への重み0%。
予測B
4.00%と4.25%を各50% – 平均4.125%、4.25%以上への重み50%。
結果を4.25%と仮定
どちらも平均差+12.5 bp – 同じ平均差でも候補の分布は異なる。

今週から行う三つのこと

  1. 機関ごとに指標名、以前の値、発表値、適用中の値、適用日、予測の出所・時刻、次の公表を一表へ記録。中央値ならその慣行も明記します。
  2. 以前との差と予測との差を別々に計算し、満期、相手通貨、予測の内訳を照合します。相違は検証する仮説です。
  3. 公式予定を更新し、追加の会合・資料も確認します。固定の15分や6週サイクルで完全性が保証されるわけではありません。後日の要旨で過去の判断を補強しません。

次はFedが決める金利へ。政策目標と債券市場の利回りを区別します。