クロスレートの算術は第三通貨を介して二通貨を換算する方法です。FXで「クロス」は一般にUSDを含まないEUR/JPY、EUR/GBP等を指しますが、計算に使う共通通貨はUSDに限りません。先に単位を書くと、掛け算・割り算・逆数の向きが分かります。

計算式と実際の二取引を区別する

主要・クロス・エキゾチック通貨ペアという市場用語と換算の式は別です。USD経由で計算できることは、EUR/JPYの直接取引が必ず二つのUSD取引として執行される証明ではありません。クロスのスプレッドが構成ペアより必ず広いともいえません。

EUR/JPYの単位は1 EURあたりJPY、EUR/GBPは1 EURあたりGBP。参照値から導いた数値と、指定数量を実際に交換できる提示価格を分けます。

中間通貨が消える場合は掛け算

スプレッドなしの架空例でEUR/USD=1.1000 USD/EUR、USD/JPY=150.00 JPY/USD。積は165.00 JPY/EURです。USD/EUR×JPY/USD=JPY/EURとなります。別例のGBP/USD=1.2500ならGBP/JPYは1.2500×150.00=187.50 JPY/GBP。現在値や通常レンジではなく練習用の入力です。

別の架空入力でも計算してみましょう。1.0850×150=162.75 EUR/JPY、1.2700×150=190.50 GBP/JPY、0.6500×150=97.50 AUD/JPY。USD/CHF=0.9000ならEUR/CHFは1.0850×0.9000=0.9765、GBP/CHFは1.2700×0.9000=1.1430。それぞれ結果の単位は相手通貨/基準通貨です。

同じ通貨で示す二価格は割り算

EUR/USD1.1000とGBP/USD1.2500ならEUR/GBP=1.1000÷1.2500=0.8800 GBP/EUR。(USD/EUR)÷(USD/GBP)であり、逆の割り算はEUR/GBPという単位、つまり1 GBPあたりEURになります。ペア名と単位を混同せず基準通貨と決済通貨を確認します。

別の架空入力1.0850÷1.2700なら約0.8543 GBP/EUR、AUD/USD0.6500÷NZD/USD0.6000なら約1.0833 NZD/AUD。逆数にする場合は価格側も逆になり、逆数のBid=1÷元Ask、逆数のAsk=1÷元Bidです。

架空モデル・換算の仕組み

割り算はBidとAskを交差させる

EURを売るときはBid、GBPを買うときはAsk。同じ100 EURをGBPで買う場合は両方の操作が逆になります。

図全体は横スクロールで確認

横にスクロールすると図全体を確認できます。

割り算はBidとAskを交差させる同時の架空EUR/USD1.1000/1.1002、GBP/USD1.2500/1.2502。100 EURを売る受取は約87.9859 GBP、100 EURを買う支払は88.0160 GBP。二つのUSD建て → GBP建てEUR/USD・1 EURあたりUSDbid 1.1000 / ask 1.1002GBP/USD・1 GBPあたりUSDbid 1.2500 / ask 1.2502100 EURを売りGBPへ100 × 1.1000 ÷ 1.2502≈ 87.9859 GBPGBPで100 EURを買う100 × 1.1002 ÷ 1.2500= 88.0160 GBP割り算は異なる側の価格を使います。

両交換の全量約定、別途手数料・スリッページなしの架空例。実勢価格や裁定利益の証明ではありません。MT5の買いAsk・売りBid説明と情報用のECB参照レートを区別します。

合成EUR/GBPのBidは約0.879859、Askは0.880160。(USD/EUR)÷(USD/GBP)=GBP/EURという単位の消去も確認します。

数量とBid/Askを両方合わせる

架空のEUR/USD1.1000/1.1002とUSD/JPY150.00/150.03では、合成EUR/JPYのBid=1.1000×150.00=165.0000、Ask=1.1002×150.03=165.063006。この向きではBid同士、Ask同士を掛けます。一方EUR/GBPのBid=EUR/USD Bid÷GBP/USD Ask、Ask=EUR/USD Ask÷GBP/USD Bid。図の100 EUR売却受取約87.9859 GBPと購入支払88.0160 GBPはこの違いです。

直接価格から合成中値を引いても業者の正確なスプレッドや上乗せ額にはなりません。その提示自身のスプレッドはAsk−Bidです。受渡し交換で100,000 EURを1.1000で取得するには110,000 USDが必要。USD/JPY側もこの110,000 USDに合わせる必要があり、単に二つの基準通貨ロット数を同じにしても中間USDは消えません。

CFDなら契約単位、損益通貨、資金調達費を別途確認します。二つの現物交換の算術を、そのまま二つのCFDの全損益・証拠金に置き換えません。FXの仕組みも参照してください。

USD手数料をJPYへ直すと差額が変わる新しい架空の受渡し演習:500 EUR購入、EUR/JPY Ask165.02、EUR/USD Ask1.1002、USD/JPY Ask150.03。全量同時約定。直接ルートは別途費用なし、合成ルートだけ1 USDと100 JPYの手数料を仮定。実際の商品条件ではありません。仮定に基づく計算直接EUR/JPYで購入82,510 JPYUSD経由の交換のみ82,531.503 JPY合成ルートの全支払82,781.533 JPY
USD手数料をJPYへ直すと差額が変わる. 新しい架空の受渡し演習:500 EUR購入、EUR/JPY Ask165.02、EUR/USD Ask1.1002、USD/JPY Ask150.03。全量同時約定。直接ルートは別途費用なし、合成ルートだけ1 USDと100 JPYの手数料を仮定。実際の商品条件ではありません。

1 USDと100 JPYをそのまま101として足せません。手数料を支払う通貨と価格側を指定し、端数処理も最後に別記します。この例は一方向の経路比較で裁定の証明ではありません。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

直接EUR/JPYで購入
82,510 JPY – 500×165.02。
USD経由の交換のみ
82,531.503 JPY – 500×1.1002=550.1 USDを150.03で購入。
合成ルートの全支払
82,781.533 JPY – さらに1 USD×150.03+100 JPY。直接より271.533 JPY多い。端数丸め前。

変動性はティッカー固有の定数ではない

ATRはデータ、時間足、期間、計算法で変わります。将来の保証レンジでも、ストップに到達する確率でもありません。異なるpip規約のペアで同じpip数を比べる前に、同じ金銭リスクへ換算します。観測期間を明記し、取引仮説の無効化条件から損切りを考え、計画損失に合わせ数量を計算します。「ATRの一定割合なら通常変動に当たらない」という保証はありません。

裁定は一周の全交換で検査する

上の架空価格に直接EUR/JPY165.00/165.02を追加。1,000 EURを直接買う支払は165,020 JPY。そのEURをUSD経由で売ると1,100 USD、さらに165,000 JPYとなり、一周すると別途費用前でも20 JPYの損失です。合成中値が高くても利益とは限りません。

全レッグの実行可能な側、同時刻、十分な数量と全費用が必要です。順番に執行すれば途中の露出が残ります。画面の乖離は無リスク利益、中央銀行介入、流動性ショックの確実な証拠ではありません。速度の差だけから結果の保証を導きません。

結果を信頼する前の五項目

  1. 通貨単位:何通貨を1単位とした数値か。
  2. 方向:買うのか売るのか、逆数なら価格側も交換したか。
  3. 時刻:異なる時点の数値を同時に実行できると扱っていないか。
  4. Bid/Ask:中値を取引価格の代用にしていないか。
  5. 丸め:各レッグの最小数量・通貨端数処理を記録したか。

参照レートは情報用でその価格で取引する申出ではありません。意外な結果なら入力を再確認し、EUR/JPYは常に一定水準にあるはずだと決めつけません。両構成ペアの上昇も、同じ時刻・同じ単位の積を別の「平均」で打ち消す説明にはなりません。

自分の契約で小さく再現する

架空の小さな換算を書き、契約仕様の数量・通貨・価格側と照合します。通貨額、スプレッド費用、口座通貨への換算を別欄に置きます。取扱商品や公表スプレッドが不明なら業者に確認し、不明であることだけで不正と断定しません。為替見通しの数をそのまま独立した根拠の数とせず、金額から考える建玉量で計画損失に結び付けます。

実際の参照データで検査する

2025年の共通250日を使ったNBPとECBのUSD/PLN参照値比較には月別集計、再現手順と制約があります。市場の実行可能なBid/Askや裁定利益の測定とは区別してください。