MetaTrader 5は、MetaTrader系列の複数資産対応とストラテジーテスターを拡張した端末です。MT4と選ぶときは、業者が提供する商品・口座と、手持ちのツールやコードを比べます。機能が多いことと、移行が自分に適することは別です。

商品と口座に依存する機能

MT4にも保守更新があり、MetaQuotesの公開履歴には2026年3月の更新、さらに10月2日のbuild1490が掲載されています。どちらが5年後までどう更新されるかという保証ではありません。古い「MT4は修正も終了した」という説明に頼らず、現在必要な機能と提供条件を確認します。

MT5は店頭と取引所の仕組みを持ち、口座が対応する範囲で通貨、CFD、株、先物等を扱えます。ただし株名のCFDは株主の所有と同じではなく、指数名だけで上場先物とも言えません。商品、契約数量、最小刻み、時間、費用、取引場所を銘柄ごとに確認。日本語UIやダウンロード可否は日本居住者への提供許可の証明ではありません。

21時間足・6待機注文・カレンダー

標準時間足はMT5が21、MT4が9で、分足や時間足の選択肢が増えます。多さだけで戦略優位にはなりません。基本の待機注文は6種類でBuy Stop Limit、Sell Stop Limitを含み、利用可能な種類・執行規則は銘柄に依存します。

元の架空店頭買いの例ではストップ1.1050でBuy Limit1.1040を出します。上昇が続いて指値の執行条件を満たさなければ建玉が開くとは限りません。起動と約定を分けて記録します。注文の種類を確認してください。

経済カレンダーとDOMがありますが、MT4にもDOM画面はあります。取引所データと店頭業者の気配は意味が違い、取引所DOMも業者の提供次第です。MQL5経済カレンダー関数は利用者の現地時計ではなく取引サーバーの時刻を使います。JSTなど別のカレンダーと比較する前にゾーンを記録します。

利用可能なデモでテスターのモード・複数銘柄処理、実際のDOM内容を確認。パネルの有無だけから市場全体の流動性を読めるとは考えません。

MQL5と複数銘柄テストで変わること

MT4はMQL4、MT5はMQL5ですが、どちらもクラス、継承、ポリモーフィズムを扱えます。取引APIとテスト環境は違うのでEAの移植にはコード確認が必要。新しい言語名だけで保守性やすべてのアルゴリズムの速さは保証できません。

MT5テスターは対応EAによる複数銘柄処理、データのある範囲の実ティックモード、ローカル・リモート・クラウドエージェントへの最適化分散を備えます。単独テストは1エージェントを使い、並列最適化は異なるパラメーター組を別々に試します。数か月が必ず数時間になるとも、ライブ約定を完全再現するとも言えません。

課題確認すること
EUR/USD、GBP/USD、USD/JPYを一つの系で検証全対象を実際に参照・管理する複数通貨EAが必要
MT4標準テスト選択した1銘柄の独立結果を共有口座ポートフォリオと同一視しない
MT5互換EAによる1回の複数通貨実行で全銘柄履歴・モードを確認
最適化対応エージェントにパスを分散、1テストは1エージェント

データ範囲、価格生成、費用、遅延仮定を記録します。三つの独立した最終利益を足しても、共有口座の途中のEquity・証拠金・数量上限は再現できません。バックテストの設計では互換コードと後の検証も分けます。

nettingの大きな売りは、すべてが買いの決済ではない

元の架空USD口座例です。EUR/USD買い0.20lotを1.1000で保有し、売り0.30lotが1.1020で1回だけ約定。1lot=100,000 EUR、費用ゼロ。以後の価格と新売建の損益は未指定です。

横にスクロールすると図全体を確認できます。

買いを上回る売りでnetting建玉が反転架空USD口座。EURUSD買い0.20lot、建値1.1000へ売り0.30lotが1.1020で単一約定。0.20の決済で40USD利益、新たに0.10売り。1lot10万EUR、費用ゼロ。新売建への過去利益はない。1約定を二つに分けるNetting:買い0.20 → 売り0.30 lot変更前:買い0.20、1.1000売り0.30、約定1.10200.20:決済0.10:売建実現損益:+USD 40新しい建玉:売り0.10+40は決済した0.20だけの損益新しい売建に過去の利益は付かない
架空USD口座。EURUSD買い0.20lot、建値1.1000へ売り0.30lotが1.1020で単一約定。0.20の決済で40USD利益、新たに0.10売り。1lot10万EUR、費用ゼロ。新売建への過去利益はない。

同じ約定の0.20lotは既存買い20,000 EURを決済し、残り0.10lotは10,000 EURの新しい売建となります。決済部分は20,000×0.0020=40 USDの実現損益。新売建の建値は単一反転約定の1.1020です。複数約定なら数量加重の価格を使います。

売り全30,000 EURへ過去建値との差を掛けると60 USDになり、新建玉がまだ存在しなかった期間の利益を割り当てる誤りです。この分解は1約定の数量を分けるもので、別価格の2約定を仮定するものではありません。前後の数量から照合します。

nettingとヘッジ方式、数量加重価格

業者が口座方式を設定します。架空の完全約定で買い0.30lotへ新規売り0.10lotを出すと、nettingは買い0.20lotへ減少。ヘッジ方式で新建玉として売りを開けば、買い0.30と売り0.10を別々に保有し得ます。特定の買いを部分決済する操作は別です。符号付き正味数量が同じでも、費用や証拠金まで同じとは限りません。チケットと受理された保護水準を確認します。

別の架空USD口座でEUR/USD買い0.30lotが0.10を1.1000、0.20を1.1010で約定したとします。1lot=100,000 EUR、追加費用ゼロ。30,000 EURの支払額は11,000+22,020=33,020 USDで、加重建値は1.100666…です。Bid1.1020で全決済すれば売却額33,060との差40 USD。2行を単純平均すると1.100500となり、架空利益45 USD、5 USDの過大評価です。

関連する約定だけを単位数で重み付けし、関係ない退出や反転を混ぜません。実約定価格で計算した損益から同じスプレッドをもう一度差し引かないでください。反対注文が減少・反転なのか別建玉なのかは、口座方式から判断します。

円の反転例:新しい売建にも直ちに評価損益がある

独立した架空円口座で、残高100,000円、USD/JPY買い3,000 USDの建値150.00、ほかの建玉・費用なしとします。Bid150.20、Ask150.23の時、nettingで5,000 USDの売りがBid150.20で単一約定。3,000 USDの決済益は600円、残り2,000 USDは150.20で新しい売建です。売り全数量に0.20を掛けた1,000円は実現利益ではありません。

この売り約定全体の手数料100円を即時に計上、ほかの費用・価格変化なしなら残高は100,500円です。新売建を現在Ask150.23で評価すると(150.20−150.23)×2,000=−60円、Equityは100,440円。決済直前の買いの含み益600円を含むEquity100,600円からは160円減り、その内訳は費用100円と新売建の気配差60円です。実現益600円、純残高差500円、評価を含む差440円を分けます。実際の業者仕様・将来の買い戻し価格を示すものではありません。

MT4を残す理由と移行の費用

手持ちの互換MQL4指標・EAや既存作業は移行費用になり得ます。イベント処理、一部事前定義変数、バッファ参照、取引対象の選び方と決済処理を見直します。EX4をそのままMT5で動かすのでなく、ソースまたは互換MQL5版を用意し再試験。コンパイル成功だけでは互換性は確立しません。

古いコードがなくても新しいメニューだけで一律に移行を勧めません。速いテストと速いライブ約定は別で、費用もなくなりません。MT4との比較とcTraderとの比較で実際の業務を確認します。

反転後の3種類の損益

反転後の3種類の損益架空USDJPY netting、3,000 USD買い150.00へ5,000 USD売り150.20、手数料100円、現在Ask150.23。仮定に基づく計算旧買いの実現益+600円残高100,500円Equity100,440円
反転後の3種類の損益. 架空USDJPY netting、3,000 USD買い150.00へ5,000 USD売り150.20、手数料100円、現在Ask150.23。

売り全数量の価格差1,000円を実現益とせず、新建玉の評価を別に確認します。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

旧買いの実現益
+600円 – 決済した3,000 USDだけへ価格差を適用。
残高
100,500円 – 開始100,000+600−100。
Equity
100,440円 – 新売建2,000 USDの評価−60を反映。

次にデモで確かめること

  1. 担当業者の仕様、口座方式、必要時間足を確認。カレンダーの時刻ゾーンを記録。固定1時間の試用で習熟や時間短縮を測れたとはしません。
  2. 明示的にEUR/USD、GBP/USD、USD/JPYを扱うEAを一つの実行で検証。単一ペア移動平均EAを選ぶだけでは複数通貨にはなりません。
  3. 移す指標とEA、ライセンス、修正・検証の費用を一覧化して判断します。
  4. 実際に提供される方式で部分決済と新規反対注文を区別。カレンダーで高影響を選んでも、NFPなどの前のエクスポージャー回避は保証されないので時刻・現注文を確認します。