含み損益は未決済数量の現在評価、確定損益は決済が約定した数量の結果です。含み損も既に有効証拠金を減らします。決済すると約定した部分の出口価格が定まりますが、履歴へ移すだけでもう一度利益が生まれるわけではありません。評価、費用、換算、入出金を同じ通貨・同じ時点で照合します。

含み損益と確定損益:現在評価と決済済みの結果

含み損益は、関係する価格、換算入力や調整が変われば変化します。標準的な線形FXモデルの買いなら価格上昇が価格損益を増やし、売りなら逆です。ただし気配更新の全てで損益が変わるわけではなく、関連しない項目だけが更新される場合もあります。

このモデルでは買いを出口側のBid、売りをAskで評価します。気配が不変で他の費用がないとき、Askで買って直後のBidで評価した価格損はスプレッド相当です。実際の開始時損益には約定ずれ、手数料や換算なども影響し得るので、「必ずスプレッドだけ」とは決めつけません。現在の評価は、その価格で直ちに清算できる保証でもありません。

確定した価格損益は決済約定数量に対応します。その後の同一商品の値動きが既存の約定価格を変えるわけではありませんが、別途の費用計上や口座通貨への換算は最終結果に影響し得ます。部分決済なら残りは含み損益と市場リスクを持ち続けます。評価時点と費用を含む範囲を、両方の列に記します。

入金は有効証拠金を増やすが、売買益ではない

横にスクロールすると図全体を確認できます。

入金と期間損益を分ける期首有効証拠金5,000USD、確定損益+120USD、入金1,000USD、期末含み損益−70USDで、現在の有効証拠金は6,050USD。入金を除く期間損益は+50USD。資金の増加と売買益は別期首:5,000USD期首の保有ポジションはゼロ。確定損益+120 USD記帳済み入金+1,000 USD含み損益−70 USD現在:6,050USD期間損益:6,050−5,000−1,000=50
架空USD口座の照合。資金の増加1,050USDのうち1,000USDは入金です。

期首は残高と有効証拠金が共に5,000USDで、保有ポジションはありません。期間中に確定損益+120USD、入金1,000USDを記帳し、期末の含み損益は−70USDとします。出金、手数料、資金調達費用、換算、クレジット、拘束額は全てない仮定です。

現在の残高=5,000+120+1,000=6,120USD、有効証拠金=6,120−70=6,050USD。入金を除く期間損益は6,050−5,000−1,000=+50USDです。1,050USD全部が利益でも、確定した120USDだけが期間の全結果でもありません。MT5も残高操作とポジション損益を区別します。これは金額の照合で、収益率ではありません。収益率には入出金時刻を扱う方法を選ぶ必要があり、この表は税務申告にも代わりません。

残高と有効証拠金:どの欄へ反映されるか

残高には入出金、実現した結果、費用などの記帳済み操作が、業者の会計仕様に従って反映されます。有効証拠金は未決済評価や該当するクレジット・調整を含む口座価値です。残高は決済以外でも変わります。

追加調整のない単純な口座なら、有効証拠金−残高は含み損益です。MT5の説明にはクレジット、手数料、拘束額などもあるため、全口座を二欄だけで完全に照合できるとは限りません。保有ゼロでも両者が必ず一致するわけではありません。画面項目の定義と明細を確認し、残高・有効証拠金・必要証拠金も併せて読みます。

なぜマージンコールに関係するのか

必要証拠金が正のとき、MT5のMargin Levelは有効証拠金÷必要証拠金×100です。必要証拠金が同じなら含み損による有効証拠金減少で比率が下がります。これは割合の指標であり、必要証拠金額そのものでも、普遍的な強制決済指示でもありません。

マージンコールという警告と強制決済を分け、実際の商品・契約の条件を確認します。100%で警告、50%で決済が全口座に当てはまるとはしません。含み益で余剰証拠金が増えるとも限りません。例えばXTBのポーランドCFD向け説明は含み益を余剰証拠金に加算しない一方、含み損は反映する仕様です。MT5も業者による扱いの違いを説明しています。これは日本の全業者に同じ計算法を当てはめる根拠ではありません。

一取引の全ライフサイクルを追う

架空の線形EUR/USD取引で100,000EURを保有し、初期残高10,000USDのUSD口座を使います。Askでの実際の入口約定を1.0850とし、手数料、金利・資金調達、換算、クレジットや他の口座操作はありません。以下は過去の実取引ではない仮定価格です。

買い100,000EURの価格損益=数量×(出口側Bid−入口Ask)
状態含み価格損益残高有効証拠金
入口1.0850、Bid1.0849−10USD10,000USD9,990USD
Bid1.0900+500USD10,000USD10,500USD
Bid1.0950+1,000USD10,000USD11,000USD
Bid1.0820、未決済−300USD10,000USD9,700USD
1.0820で全数量を売却約定0USD9,700USD9,700USD

100,000×(1.0820−1.0850)=−300USDを確定損益へ移しただけなので、最後の二行で有効証拠金は同じです。先に表示された+1,000USDはその時点で有効な評価であり、架空のお金だったわけではありません。しかし追加で記帳する利益でも、出口の予告でもありません。

別の部分決済練習として、Bid1.0950で半分だけを同じ価格で約定でき、追加費用がないなら、確定+500USD、残りの含み+500USD。残高10,500USD+含み500USD=有効証拠金11,000USDで、移し替え自体による増加はゼロです。

損益表示に引かれて計画を変えていないか

損失を記帳したくないという理由だけで損切りを遅らせる、あるいは緑の利益が消えるのが嫌という理由だけで勝ちポジションを閉じる、という判断は計画から外れる可能性があります。どちらが適切かは列の名前では分かりません。現在の仮説、数量、出口条件を、事前に決めた規則と比較します。

心理的な誤りでは保有効果や埋没費用も扱います。ここでは「今なお保有する理由」を書き、既に費やした時間や損益の色だけを理由にしないことが確認項目です。これらの心理的説明から次の価格を予測したり、個人の症状を診断したりはできません。

含み・確定の表示と税務上の認識を分ける

国、商品、納税者の属性と対象年で税務認識は異なります。日本の国税庁No.1521(2026年4月1日現在法令等)は、該当する市場デリバティブ、又は第一種金融商品取引業者・登録金融機関を相手方とする対象の店頭デリバティブについて、差金等決済の課税を説明します。対象の差益は申告分離課税で、2026年分の所得税15%・地方税5%に基準所得税額への復興特別所得税2.1%を加えると20.315%です。全ての外国口座や全FX商品に一律適用する率ではありません。

差金等決済には決済、行使、放棄、譲渡などの認識事象が含まれます。対象外の取引や損失の通算・繰越には別の扱いと要件があり、プラットフォームの「含み/確定」だけでは決まりません。年末の表示だけで税額を決めたり、保有を続ければ必ず課税を繰り延べられると判断したりしないでください。実際の契約、決済、対象年の証憑と税務換算を確認します。

比較として、ポーランドの2025年分PIT-38公式手引きは、デリバティブの譲渡・権利行使を対象に含め、権利行使収入の認識時点と該当欄の19%計算を説明します。外貨額には指定されたNBP換算規則があり、業者の口座換算と異なることがあります。これは日本の税率・申告様式ではなく、USD画面の合計をそのままPLN申告額にもできないという国別比較です。表示損益と課税所得、取引成績と出金可能額は分けます。

部分決済で増えたのは、確定欄への配分

部分決済で増えたのは、確定欄への配分別の架空JPY口座、USD/JPY買い10,000USDをAsk150.00で保有し、Bid150.60で4,000USDを決済。仮定に基づく計算決済直前206,000円部分決済、費用前206,000円別途費用120円後205,880円
部分決済で増えたのは、確定欄への配分. 別の架空JPY口座、USD/JPY買い10,000USDをAsk150.00で保有し、Bid150.60で4,000USDを決済。

同じ約定条件なら移し替えだけで価値は増えない。残りの6,000USDには市場リスクが残る。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

決済直前
206,000円 – 残高200,000+含み6,000。
部分決済、費用前
206,000円 – 確定2,400+含み3,600への配分。
別途費用120円後
205,880円 – 値が減った原因は移し替えではなく費用。

評価・記帳・資金移動を取り違えないために

  1. 残高と有効証拠金を並べ、クレジット、拘束額、未計上費用などの仕様を読む。単純差額だけで全内訳を推測しない。
  2. 含み益のキリのよい金額だけでなく、抵抗帯・支持帯など測定可能な価格規則に基づき利確条件を事前に定める。チャート上の水準も約定保証や利益保証ではない。
  3. トレーリングの起動条件、単位、計算する場所、サーバーが最後に受理したSLを確認。ローカル候補が拒否される場合や通常ストップの滑りもある。デモは操作確認に使い、ライブ執行品質や利益保持の証明にしない。
  4. 部分決済を数量と約定価格で計算。残りは市場リスクを持ち、移し替えだけで有効証拠金は増えず、別途費用で減る場合もある。
  5. 全期間を共通評価時点で記録。確定・含み損益、別計上費用、入出金を分け、ピークから出口の下落だけを全成績にしない。

含み益があるだけでは出金できる額は分かりません。業者が示す出金可能額、担保、決済と口座の制限を確認します。残高、有効証拠金、余剰証拠金は出金可能額と同義ではなく、未決済中の出金は残る資金と証拠金余力を減らし得ます。先に決済しても、以前の評価額で約定できる保証はありません。

追加演習:円口座で部分決済と出金を追う

別の架空のJPY口座を残高200,000円、保有なしから始めます。USD/JPYを10,000USD、Ask150.00で買い、現在Bid150.60と仮定。含み益は6,000円、有効証拠金206,000円です。換算・スワップ・クレジット・その他調整はなく、次に示す120円だけを独立した決済費用として使います。実在業者の料金ではありません。

同じ価格で4,000USDを部分決済した別モデル
時点残高含み有効証拠金
部分決済直前200,000円+6,000円206,000円
4,000USDを150.60で売却、費用前202,400円+3,600円206,000円
費用120円を残高に計上202,280円+3,600円205,880円
残る6,000USDのBidが150.00へ戻る202,280円0円202,280円
さらに30,000円を出金したと仮定172,280円0円172,280円

最後も6,000USDは未決済で、含みゼロはリスクゼロではありません。30,000円を出金できるかは別途の口座規則・担保確認が必要で、表は許可を保証しません。口座価値は期首より27,720円少なくても、出金を除く期間結果は172,280−200,000+30,000=+2,280円です。移し替え、費用、市場変化、資金移動を別行にすると、どこで値が変わったかを説明できます。税務上の所得額の計算ではありません。