取引日誌は約定記録と元の計画、その時点で判断に使った証拠をつなぎます。欠落、手順違反、計画通りでも損失になった例を見つける助けにはなりますが、業者の明細の代用でも、自動的な損失原因の診断でもありません。

何を一行とするか決める

一行が一約定、決済済みポジション、一つの売買アイデアのどれかを定義します。部分約定・部分決済では一アイデアに複数記録が生じます。口座と実行IDを保存し、再集計で取引を重複させたり手数料を落としたりしないよう元履歴も残します。

遵守・違反エントリーの差、負けの後の判断、定義したセットアップ別の結果などを質問にします。負けの後というだけで取り返し取引と診断せず、観測可能な違反を指定して通常の結果も含めます。群間差は仮説であり、感情が原因と証明しません。数量、相場、規則も違い得て、比較可能な情報が足りないという結論もあります。

保存する十の情報群

群内容
1 識別口座別名、アイデア・建玉ID、各約定ID
2 時間・商品日付、タイムゾーン、正確な銘柄と時間足
3 方向・数量買い売り、単位・ロット、契約仕様
4 入口計画判断前の条件、希望価格、注文方式
5 初期リスク・出口最初のストップ、口座通貨リスク、出口規則
6 実際の約定入口・出口の価格、量と時刻
7 費用・通貨手数料、諸費用、swap、純額に含むか
8 保有中の変更ストップ、数量、出口の変更時刻と理由
9 文脈・自己申告状況と感情、または明示した欠測
10 手順評価定義した条件への適合、違反、不明

十は情報群で列数の強制ではありません。時間や移動条件の出口には固定利確がない場合もあり、初期ストップを後の変更と併記します。最終成績からFOMOなどの感情を推測して埋めません。

架空EUR/USD買い約定1.0852、初期ストップ1.0822、目標1.0902。1pip=0.0001なら30pipsと50pips、計画のreward:riskは50/30≒1.67:1、risk:reward順なら1:1.67。追加費用前の計画で実現結果ではありません。1ロット100,000 EUR、USD口座なら0.10ロットは10,000 EUR、pip価値1 USD。ストップ水準の価格損失30 USD、目標価格利益50 USDです。「ミニロットの0.1」ならその規約では別数量で、実契約を確認します。通常ストップは希望価格の保証ではありません。

通貨をそろえてから足す

二つの元純損益+40 USDと−30 EURを、そのまま40−30にしません。

横にスクロールすると図全体を確認できます。

単位をそろえてから足す架空の純損益+40 USD、−30 EUR。報告用レート1 EUR=1.20 USDなら後者−36 USD、合計+4 USD。二つの通貨からUSD報告へ元の記録換算後+40 USD+40 USD−30 EUR−36 USD架空レート:1 EUR=1.20 USD40 − 36 = +4 USD集計通貨:USD
架空の純額と報告用レート。通貨換算は一度だけ、実際の交換結果や税務計算を示さない。

この時点の架空報告レートを1 EUR=1.20 USDに固定すると−30×1.20=−36 USD、合計+4 USD。費用は既に含み、実際の両替、換算費用、税や未決済評価は除外します。現行為替や業者の交換価格でもありません。通貨、レート、評価時刻を残し、元報告が口座通貨へ換算済みなら再換算しません。

表計算を元の明細と照合する

損益・料金の通貨と符号規約を保存します。費用が符号付きならそのまま足し、正の引落額なら引きます。全出力へ同じ式を盲目的に当てず、約定価格に反映済みのスプレッドも再控除しません。架空USDで価格損益+25、手数料−2、swap+1なら純額+24。元純額+24へもう一度手数料を引くのは二重控除です。両側と別記の費用も扱い、一費用を複数建玉へ重複配賦しません。

評価前に初期Rを定義します。R30 USDなら決済純額+24は+0.8R、−33は−1.1R。計画費用を分母に含むかも書き、決済後に変えません。勝った平均pips/計画ストップでは実際の純額Rを代替できません。入出金は取引損益でなく、確定損益に未決済の価値変動が自動で入るわけでもありません。日誌はそのまま税務計算ではありません。

MT5の履歴ReportのヘルプはHTML履歴報告を説明し、別のReport / Overview(View / Reportsからも開く)は概要をHTML/PDFへ保存します。どの版・報告か確認し、どちらも常にCSV出力と決めません。対応する表取込や提供者の出力を使い、小数点、通貨、時刻、期間、件数・合計を元と照合し、元ファイルと取得時刻を残します。アプリは取込精度、書出し、個人情報と費用で選び、三か月の待ち期間は要りません。

重複取込も試します。架空Aは実行ID101/102/103で純額+12/−8/+4 USD、Bは103/104/105で+4/−5/+3。単純連結は6行+10 USD、口座とIDで重複を除いた5約定は+6 USDです。差+4は追加利益でなく重複103。値が食い違えば勝手に片方を選ばず衝突として示します。

レビューの四つの問い

資料は完全で元と一致するか

全対象、重複、費用と未解決を先に確認します。最大の勝敗は調査の入口で、選んだ極端例が全体の代表ではありません。

規則に従ったか

観測条件と利益を別評価にします。利益の出た違反は違反、遵守した損失だけで執行ミスとはいえません。不明を黙って遵守にしません。

群分けが示すものは何か

架空30取引、各一ラベル、USD純額
ラベル件数純損益
冷静14+250
焦り8−180
損失回復への衝動5−320
不安3−40
全体30−290

250−180−320−40=−290 USD。焦りと回復ラベルは13件、合計−500 USD。割り当てた数の演習で実測統計や感情原因の証拠ではありません。数量、方法、相場、実際の違反を調べ、「この感情を消せば月+500」と因果効果へ読み替えません。

どの訂正や仮説を検証するか

確認した重複なら取込修正、群間差なら追加観測かもしれません。仮説と評価規則を事前に決め、毎週新しい取引制限を足す必要はありません。

結果から架空の計画を作らない

判断前に計画を記録し、約定コメントはリスク管理を妨げない時点で加えます。事実は自動化できても出所を保存します。画像には時刻、銘柄、時間足を付け、未来価格を含む後の画像はレビュー資料と表示します。過去の数値は明細から回収し、分からない感情は欠測、後の回想は事後記録にします。結果から復元した計画を同時点の根拠として見せません。

扱える量の日誌を作り試す

  1. 一行の単位を決め、元の履歴と対応形式を保存。重複、費用、通貨を照合してから群を解釈する。
  2. 短い文脈雛形を用意し、口座監視を妨げない範囲で記録。不明は不明のまま残す。
  3. レビュー時間も予算化。架空30記入×2分+4レビュー×30分=180分、3時間。全員の所要時間の約束ではない。
  4. 具体的訂正や仮説を観測可能なテストへ結ぶ。規律の仕組みも参照し、三か月で自動的にミスを察知する、収益化する保証にしない。

追加比較:部分決済の行と一アイデアは違う

日本円の別の架空純額例。アイデアAを部分決済し実行a1+3,000円、a2−1,000円、別アイデアBを実行b1−2,000円で決済したとします。3行なら勝ち1、負け2で勝率1/3=33.3%。アイデア単位でA+2,000円とB−2,000円へまとめると勝ち1、負け1で50%。どちらの合計も0円です。

同じデータなのに一行の単位だけで勝率は変わります。プラットフォームの取引数定義とは別に自分の分析単位と親IDを明示し、片方を優れた実績として選びません。費用は既に純額に含むため親へ集約して再控除しないようにします。これは実測口座ではありません。

同じ純額でも一行の定義で勝率が変わる

同じ純額でも一行の定義で勝率が変わる架空JPY純額。Aの部分決済+3000/−1000、Bの決済−2000。追加費用なし。仮定に基づく計算約定の3行勝率1/3=33.3%アイデア2件勝率1/2=50%どちらの集計も合計0円
同じ純額でも一行の定義で勝率が変わる. 架空JPY純額。Aの部分決済+3000/−1000、Bの決済−2000。追加費用なし。

分析単位を固定して比較する。行数の変化を成績改善と取り違えない。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

約定の3行
勝率1/3=33.3% – 勝ち1、負け2。
アイデア2件
勝率1/2=50% – A+2000、B−2000。
どちらの集計も
合計0円 – 親IDを保存し純額を二重控除しない。

勝率は同じでも標本総額はマイナスへ

約2分の計算練習

架空の純額:勝ち30件の平均200 USD、負け50件の平均100 USD、純損益が正確にゼロ20件。合計1,000 USD、全100件平均10 USD、非ゼロ勝率37.5%。平均負けだけ125 USDへ変えると、同じ勝率で総額は正を保ちますか。

件数と損失額を一緒に検算する

計算と説明を確認する

30×200−50×125=−250 USD。100件平均−2.50 USD、非ゼロ勝率は37.5%のまま、利益係数6,000/6,250=0.96。モデルの損益分岐勝率は125/325≒38.46%へ上がります。

件数と平均は架空の純額で、費用を再控除しません。勝率は正確なゼロを除き、平均には含めます。将来成績の予測ではありません。