Abandoned Babyは、中央の十字線がヒゲを含む高値・安値の範囲ごと両隣から離れる3本足です。珍しさを勝率や売買許可と取り違えず、どの価格系列・時間区切り・定義で成立したかを先に確認します。

厳密な形:実体だけでなくヒゲの窓を見る

上昇型では、事前に定義した下降トレンドの後に長い陰線、下側に孤立した十字線、陽線が並びます。足を1、2、3とし、高値をH、安値をLとすると、窓の条件はH2<L1かつH2<L3です。下降型は上昇トレンドの後で中央足が上側に孤立し、L2>H1かつL2>H3になります。等号、つまり接触は厳密な窓に含めません。

十字線は始値と終値が近い足です。「近い」の許容幅と最初・最後の足の実体条件を事前に決めます。OHLCだけで市場参加者の恐怖、売買数量の均衡、注文の枯渇や反転の原因まで確認したことにはなりません。実体だけの窓へ緩めるなら、別の変種として記録します。ヒゲまで重ならない条件は厳密な定義です。

FXで探す前に、データと取引時間を確認する

週明けに一つ窓が開いても、中央足の両側に窓がある証明にはなりません。大きな経済指標の足や連続した長い足も、それだけで窓ではありません。実際の銘柄・提供主体・セッションには日次休止や休日があります。OANDA Corporationの米国向け営業時間表にも日次休止があり、「FXは常に連続している」とは言えません。米国法人の時間表を日本の契約先にそのまま当てはめず、利用銘柄の仕様を確認します。

MT5の店頭銘柄の足は原則Bid、取引所銘柄はLastを用います。BidとAskを混ぜないでください。OANDA APIにはBid・Ask・midのOHLCがあり、smooth=trueでは始値を前足の終値に置き換えます。窓の検証には設定と元の価格を保存します。足の開始時刻、確定済みか、価格側、配信元、時間足を一組で記録し、表示時刻をJSTにしても元のタイムゾーンと区切りは残します。

Bidに7 pipsの窓があっても、Askでは4 pips重なる

以下は実相場ではないEUR/USDの算術モデルです。1 pip=0.0001。スプレッドは足ごとに1、12、1 pipsで、それぞれの足の内部では一定とします。その条件ならAskの全OHLC=Bidの全OHLC+その足のスプレッドです。

足Bid O / H / L / CスプレッドAsk O / H / L / C
11.1000 / 1.1002 / 1.0990 / 1.09921 pip1.1001 / 1.1003 / 1.0991 / 1.0993
21.0980 / 1.0983 / 1.0978 / 1.098012 pips1.0992 / 1.0995 / 1.0990 / 1.0992
31.0991 / 1.1001 / 1.0990 / 1.09991 pip1.0992 / 1.1002 / 1.0991 / 1.1000

横にスクロールすると図全体を確認できます。

判定する価格系列の窓を確認架空のBid足では中央の十字線の高値1.0983が両隣の安値1.0990より7 pips低い。各足の内部では一定のスプレッド1、12、1 pipsを加算すると、Askの中央高値は1.0995、隣の安値は1.0991となり、4 pips重なる。上下の図は同じ価格目盛りを使う。Bidの窓がAskにあるとは限らないBid:両隣と7 pipsの窓1.10001.09901.0980123Ask:スプレッド1 / 12 / 1 pips1.10001.09901.0980123L1 Ask − H2 Ask = −0.0004高安の範囲が重なる。
架空の同一目盛りによる比較。上はBid、下は足ごとに一定のスプレッドを加えたAskです。

Bidの両隣の安値1.0990−中央高値1.0983=0.0007、つまり7 pips。Askでは1.0991−1.0995=−0.0004となり4 pips重なります。足の内部でスプレッドが変わる実データでは、一つのスプレッドを全OHLCに足してAskを復元できません。別のAsk系列や十分なティックデータが必要です。

TA-Libの設定を変えると、同じ形でも判定が変わる

TA-Lib C 0.6.4のCDLABANDONEDBABYは既定penetration=0.30です。BodyLong・BodyShortは過去10本の実体、BodyDojiは過去10本の高安幅の平均×0.1が既定の基準です。窓以外に実体・色・戻りの条件がありますが、関数自体は先行トレンドを判定しません。出力+100は上昇型の検出コードであり、勝率100%ではありません。

再現用の架空列として、O/H/L/C=1.1000/1.1020/1.0990/1.1010を12本置きます。他の設定は既定のまま、続く3本は次表です。第3足の終値だけを変えます。

足O / H / L / C
11.0900 / 1.0910 / 1.0805 / 1.0810
21.0790 / 1.0798 / 1.0785 / 1.0790
31.0820 / 1.0890 / 1.0815 / 終値を変更

最初の実体は90 pips。戻りの境界は1.0810+0.0090×0.30=1.0837、0.50なら1.0855です。終値は境界を超える必要があります。終値1.0845ではpenetration 0.30の出力は100、0.50では0。終値1.0860なら両方100です。これは公開ソースの条件を使った検算であり、このページでCライブラリを実行した記録ではありません。検証時にはバージョン、設定、平均計算のための先行足も保存します。

全OHLCで形を確かめ、後から注文条件を分ける

次は下降トレンドの後に現れたと仮定する、同一の未平滑化価格系列の確定足です。値は説明用です。

足OHLC
11.09001.09101.08051.0810
21.07901.07981.07851.0790
31.08201.08901.08151.0880

L1−H2=1.0805−1.0798=0.0007で7 pips、L3−H2=1.0815−1.0798=0.0017で17 pips。最初の実体の中点1.0855より第3足終値1.0880が上にあります。ここで第3足の安値だけを1.0795に変更すると、始値1.0820は変わらなくてもヒゲが中央高値1.0798と重なるため、厳密な形は不成立です。

形が確定した後の買い約定を1.0880、通常の損切り注文価格を1.0780と仮定すると、価格差は100 pipsです。これは費用とスリッページを含まない距離で、最大損失の保証ではありません。pip当たり価値と数量、スプレッド、手数料も別途必要です。最終的な高安を確認した条件を、第3足の始値時点ですでに知っていたことにはできません。未確定足で入るなら別のルールとして、後に形が崩れる場合も扱います。

Morning Starや包み足と、何が違うか

Morning Starは中央の小さな実体を重視し、中央足が必ず十字線であることや、ヒゲ全体が両隣から孤立することを要求しません。Abandoned Babyの厳密な全高安の窓とは別です。包み足は実体を包む条件、はらみ足は実体の内包条件で、ヒゲまでの窓とは区別します。中央足が十字線でなければAbandoned Babyではありませんが、それだけで自動的にMorning StarやEvening Starになるわけでもありません。条件が厳しいほど、収益上の優位性も高いとは言えません。

希少性の数字を、そのままFXの勝率にしない

BulkowskiのFidelity掲載資料では、日足約470万本の株式データから上昇型293例という集計が示されています。これはその研究の市場・期間・定義に依存する標本数です。FXでの出現率や日本の個人口座の勝率ではなく、小標本の推定にも注意が必要です。同資料の成績集計はパターン終値から後の終値への変化を使い、あなたの約定・損切り・取引費用をそのまま再現したものではありません。

検証するなら、トレンドの定義、十字線の許容幅、窓の厳密さ、価格系列、時間足、確定時刻、仕掛けと退出、費用を先に固定します。候補と不成立例を時系列で残し、将来の値動きを見てから条件を調整しません。株式の歴史的数字を流用した強さの順位、出典不明の名言、RSIやFibonacciの一律条件で、未検証のFX成績を補強しないでください。

Bidの窓7 pipsは固定。中央のスプレッドだけを変える

Bidの窓7 pipsは固定。中央のスプレッドだけを変える両隣は1 pip、各足の内部では一定という架空モデルです。仮定に基づく計算中央7 pipsAskの窓1 pip中央8 pipsAskで接触中央12 pipsAskで4 pips重複
Bidの窓7 pipsは固定。中央のスプレッドだけを変える. 両隣は1 pip、各足の内部では一定という架空モデルです。

価格側を変えると、足の分類が変わり得ます。これは売買の推奨スプレッドではありません。

小さな画面では横にスクロールするか、図を拡大できます。数値と要点は下のテキストにも記載しています。

中央7 pips
Askの窓1 pip – 7+1−7=1。厳密な正の窓。
中央8 pips
Askで接触 – 7+1−8=0。等号は不成立。
中央12 pips
Askで4 pips重複 – 7+1−12=−4。不成立。

追加の確認:スプレッド何pipsで窓が消えるか

上のBid例では窓7 pips、両隣のスプレッド1 pipです。各足の内部で一定という前提なら、Askの窓=Bidの窓+隣のスプレッド−中央のスプレッドです。中央が7 pipsならAskの窓1 pipで成立、8 pipsなら接触して不成立、12 pipsなら4 pips重なって不成立になります。境界は8 pipsですが、「8まで成立」ではありません。

これはデータの識別条件の感度を調べる例で、8 pipsを注文の推奨上限とするものではありません。数値の見た目だけでなく、厳密な不等号と価格側を確認するために使います。次はMorning Starを読み、実体の窓と全高安の窓を見分けてください。